2022 Fiscal Year Research-status Report
幼児の食事行為の獲得と社会化-境界線を越える意味とおとなの支援
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18K03074
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 佳世子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 千夏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10352593)
加須屋 裕子 学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食事行為 / 幼児 / おやつ / 保育施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児が食事行為を行う際の基礎的な枠組みであるスクリプト(Schank & Abelson, 1977)は、主だった知識が3歳児時点で獲得される。その知識はさらに、様々な他者との食事や遊び等を通して共有され、次第にその場における文化に熟達し(Lave & Wenger,1991)、自立的な生活者となっていく。保育施設の食事場面は「給食・弁当」と「おやつ」に大別され、いずれも重要な摂食場面である一方、異なる意味を持ち幼児の態度と保育者のかかわりが異なることが推察される。本報告は、4歳児の給食とおやつ場面の分析を通して、幼児の食事行為の獲得過程を明らかにすることを目的とする。 新潟県内にあるB幼稚園の4歳児クラス20名(男児7名・女児13名)および担任1名・副担任1名の保育者を観察対象とした。給食及びおやつの時間帯(それぞれ月1回)に保育室を訪問し、食事及びおやつの準備から終了までの食事行為の観察を行った。 観察の結果、以下の点が明らかになった。(1)おやつ場面に比して食事場面は、摂食の開始と終了が明確であり、これにより文化的な摂食場面として意味づけるとともに、共食の場としての意味をも付与していた。(2)対象となった園のおやつ場面においては、種類を選択する、包装を開ける、皮を剥く等の課題が幼児に課せられていた。これは他児と同じものを食べている給食場面には見られない過程であり、それぞれの場面において幼児から表出される言動や保育者のかかわりにも違いがみられた。(3)おやつ場面ではその開始時に子どもの歓声が上がる一方で、摂食開始後の会話は少なく食べることに集中していた。給食場面は時間をかけ、会話の内容も目前のメニュー、自身の生活、給食前後の遊びにまで多岐にわたった。このことから、幼児にとってこの2場面は異なる意味を持ち、そこで獲得される食事行為の様相には違いがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍において、食事場面への観察者の入室が難しくなったほか、園児にも黙食が基本となり観察が困難になった。Web調査の実施についても、それまでの保育施設での食事とはまったく異なる状況になり、幼児の食事行為や認識も異なるため、調査開始を躊躇せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
園における観察再開の交渉を進めていると同時に、保育者および幼児を持つ保護者への調査研究を実施する。Wdb調査については、項目を当初とは若干の変更を加えて開始準備をしている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響が続き、観察依頼をしてきた対象園内に入構して食事場面の観察実施が、この3年間不可能になったことが大きい。また、幼児の食事に関する認識やその教育支援に関する保育者および保護者へのWeb調査についても、コロナ禍以前の日常とはかけ離れた状況になりそれからの回復の見込みが読めずにいたことから、実施自体を延期してきたため、研究全体の進行が大幅に遅延した。
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Research Products
(1 results)