2021 Fiscal Year Research-status Report
学校危機予防教育におけるスクールリーダーとチームの在り方に関する研究
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18K03075
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
原田 恵理子 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (20623961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
本田 真大 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40579140)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校危機予防 / スクールリーダー / ソーシャルスキル・トレーニング / 予防教育 / チームとしての学校 / コーディネーター / コンサルテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
①スクールリーダーである学校長における学校危機予防の認知:学校長を対象に学校危機予防に関する認識及び,学校長と生徒指導担当教諭による学校危機予防の認識の違いを比較検討した結果を論文にまとめ,投稿中である(研究1)。②継続実施を可能とする予防教育におけるチームとしての在り方:予防教育が継続的に実践されている学校のスクールリーダーの予防教育に対する知識と対応,学校組織の構築に焦点をあて,2021年3月から5月にかけて面接調査を行い,結果を質的に検討しまとめた(研究2)。③心理教育の効果の検証:高校生を対象に学校危機予防としての心理教育であるソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施し,聴くスキルのルーブリックを作成しその効果を検討した(研究3)。④継続実施する高校における心理教育の定着に関する事例検討:10年以上継続で行う公立高校の実践を,学校長のリーダーシップとチームの在り方に焦点化して事例検討をし,それを当該年度の学会企画シンポジウムで発表した(研究4)。⑤社会的活動への還元:学術領域以外においても社会的活動における成果として,心理教育を導入・実施するための学校コンサルテーションを行った。さらに,予防教育を実施するにあたって,心理教育の理論と学校長及びチームの在り方,学校への定着といった視点から書籍や雑誌に原稿を書いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請した研究計画で予定通り順調に進めてきていたが,新型コロナウイルス感染症の影響により,当初予定(2020年3月)の校長及びコーディネートの教員に対する面接調査が中止となった。1年後の2021年3~5月に学校長を対象に面接調査を実施した結果,コーディネーターの教員にも面接調査を行った後に得た知見に基づいて予防教育の実践をする予定であったが,コーディネーター教員に質問紙調査の必要性が考えられたものの,調査の準備にまだ至っていない。前述の結果に基づく実践であるが,コロナ感染状況による学校側の時程変更等の状況に応じて実行可能な計画に変更して実践せざるを得なく,全体として研究はやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,①スクールリーダーにおける危機予防の認識,②継続実施を可能とする予防教育におけるチームとしての在り方,③継続実施を可能とする予防教育の必要性の確認とプログラムの構築を目指すとしている。これらのことを踏まえ,研究の進捗状況を検討し,学校がおかれている状況を踏まえて2022年度の研究の課題整理を行い,全体計画の見直し,最終年度は以下の4点を進めたい。 1)校長による学校危機予防の認識の違いに関する論文の採択を目指す(研究1)。同時に,校長を対象とする面接調査の結果をまとめ,成果を発表する(研究2)。この研究で得た知見に基づいて予防教育の継続実施を可能とするため,チームにおけるコーディネーターの予防教育に関する考えや実施の工夫などについては面接調査だけでなく,追加で質問紙調査を行う。すでにコーディネーターには質問紙調査の実施の調整及び同意が得られたため,倫理審査の受理が完了でき次第,調査を行う。得られた結果は分析し,その結果をまとめる。 2)心理教育や組織体制,チームの在り方を検討するために継続校を対象にSSTを実践し,同時に2021年度の実施について成果を発表する(研究3)。また,事例検討について論文等にまとめる(研究4)。これらの研究については,大会企画シンポジウム,企画シンポジウム,ポスター発表を行う。2022年度の継続実施計画も2021年度に引き続き,新型コロナウイルス感染症への対応のため当初計画より縮小したが,コンサルテーションを継続してチームの在り方を検討し,予防教育の定着に向けた学校長及びチームの在り方に関するポイントを明らかにし,定着に向けた実践のモデルを提示する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,当初計画の面接調査の実施が遅れ,コーディネーターに対する追加の質問紙調査や実践ができなかった。さらに,研究の打ち合わせや学会出張が,オンライン等になり予定の旅費を使用しなかった。次年度は質問紙調査及び実践研究,及び結果報告や論文執筆のための文献資料等にかかる費用として用いる予定である。
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