2020 Fiscal Year Research-status Report
幼児の食物の社会的学習:大人から「健康的な食物」を仲間から「美味しい食物」を学ぶ
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18K03078
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中道 直子 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (10389926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幼児 / 食物選択 / 他者の証言 / 仲間 / 社会的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物選択は,全ての動物の健康と長寿にとって重要な課題である。とりわけ,多くの選択肢の中から食物を選択する必要があるヒトを含む雑食動物にとって,これはとても複雑で困難な課題である。このような重要性にもかかわらず,どのようにヒトが食物を認識し,選択するのかについて十分な研究が行われてこなかった。本研究では,幼児期の食物選択における他者の証言の影響を検討した。 2020年度は,これまでに行った複数の実験結果をまとめ,Jounrnal of Cognition and Development誌に投稿した。具体的には,本論文は,次の3つの結果を示した。 (1)幼児が食べるのを拒むような見た目が馴染みのない食物でも,他者が「美味しい」と証言するのを聞くと,それを食べたがること。(2)とりわけ,大人より,自分と年の近い仲間の「美味しい」という証言に従って,食物を選択しやすいこと。(3)他者が「体に良い」と証言するのを聞いても,幼児は見た目が馴染みのない食物を食べたがらないこと。 これらの結果から,仲間と一緒に食卓を囲み,彼らが食物の味について肯定的に証言するのを聞かせることは,幼児の食べられる物の幅を広げるために有効な方法であると考えられた。一方で,健康的だから食べなさいと奨めることは,幼児の食事支援にとってあまり効果がないことが明らかとなった。 本研究は,ヒトが食物選択という重要な問題をどのように解決するのかや,適切な食事を支援する方法について知ることができるという意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス感染症の拡大にともない,予定していた実験を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をまとめ,論文を国際学会誌に投稿する。また,2020年度に予定していた実験を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度は,コロナウィルス感染症の拡大により,予定していた実験ができなかった。またほとんどの国際学会や国内学会がいずれもオンライン開催となり,交通費や宿泊費を必要としなかった。これらの理由により,次年度使用額が生じた。よって,2021年度は,2020年度に予定していた実験を実施し,この実験に必要な材料を購入し,謝金等を使用する。また,国内外での研究発表のために,参加費や英文校閲費などを使用する予定である。
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