2019 Fiscal Year Research-status Report
Educational Application of Embodied Cognition Research on Upright Posture
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18K03082
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
菅村 玄二 関西大学, 文学部, 教授 (80511724)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 姿勢 / 座位 / 着座 / 立腰教育 / イス / 重心動揺 / 身体心理学 / 人間工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
姿勢の心理学的研究の延長として,背筋を伸ばした姿勢をサポートできるよう,従来の椅子を改良した「立腰」イスを小中学校に導入し,これまでに,その効果を心理と行動の両面から検証してきた。行動観察では,細かな体動や体勢の変化に伴う姿勢の変動を抽出することが困難であったため,今回は体動をより定量的かつ一元的に計測する方法として,フォースプレートを用いることにした。 身体の平衡機能に問題のない,高校・大学・大学院生が参加し,講義動画を立腰イスと通常の学習イスで視聴し,その間の重心動揺を記録した。通常イス条件と立腰イス条件で,総軌跡長,矩形面積,外周面積,動揺中心変異(左右方向)に有意差は見られなかったが,実効値面積に関しては,通常イスに比べて,立腰イスのほうが大きい傾向にあった。これは,姿勢(体動)の変動の大きさについては,イス条件間で違いは認められないが,立腰イスでは,平均的な姿勢の揺れ幅が増すことを示している。その一方で, 単位軌跡長は,通常イスよりも立腰椅子のほうが短く,単位面積軌跡長も,通常イスよりも立腰イスのほうが短かった。また,動揺中心変異(前後方向)も,通常イスよりも,立腰イスのほうが小さかった。つまり,立腰イスでは,姿勢の前後の動き全般と早い揺れが抑制され,揺れがゆっくりとなったことを意味する。 姿勢は動的平衡であり,静止が理想的な状態ではない。むしろ,ある程度の揺らぎがあってこそ姿勢制御が成立する。その点で,立腰イスは姿勢の平均的な揺れは大きくなる傾向があるが,細かな早い揺れが抑えられ,ゆったりとした体動になることを示唆しており,先行研究ともおおむね一致する結果が得られたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「立腰」姿勢のために改良・開発されたイスが製造中止となったため,その代用品を新たに試作することとなった。それにあたって,立腰イスの製作を請け負ったメーカーにこのイスを預ける必要があり,試作期間の間,本来予定していた研究の一部を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,使用を予定していた立腰イスが使えなくなる事態が生じたが,その後,元のメーカーの協力を得て,従来の学習イスの座面と背もたれに装着するクッションの試作・開発はスムーズに成功した。今後は,これを使うことで同等の研究計画を遂行できるものと思われる。
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Causes of Carryover |
予定していた実験が技術的な問題により実施できなかったため,その分の人件費・謝金を次年度に回すことになった。この技術上の問題については,すでに解決済みである。
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