2020 Fiscal Year Research-status Report
Educational Application of Embodied Cognition Research on Upright Posture
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18K03082
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
菅村 玄二 関西大学, 文学部, 教授 (80511724)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イス / クッション / 姿勢教育 / 人間工学 / 感性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,「立腰」の姿勢教育に使用するためのクッションの感性評価とその分析を行うができた。総じて,本研究課題の今後につながる重要な知見が得られたと考えている。 問題:かつては教師が生徒の背中に手を添えて「姿勢を正す」指導が一般的であった。春木らは身体心理学の観点から従来の学習イスの座面と背もたれを改良したイスを製作し,教育現場に導入し,それが肯定的な気分や学習意欲の増加をもたらすことを明らかにしてきた。しかし,こうしたイスを現場に導入することは難しいため,この改良イスをベースに,通常の学習イスにアタッチ可能な座面と背もたれのクッションを試作し,その感性的評価を行った。 方法:大学生60名が,通常イス,改良イス・試作クッションのそれぞれについて17形容詞対に7件法で評価した。 結果:すべての項目で座具の主効果が有意であった(ps<.005)。Bonferroni法による多重比較の結果,通常イスと比べ,改良イスと試作クッションは,どちらも見た目の洗練性,高級感,好み,入手欲求,生地の高級感や好み,気持ちよさ,座り心地に関する快適性,好み,入手欲求などがより肯定的に評価されていた。唯一の異なるパターンは座った際の「シャンとした」感じで,通常イスが最も高くなった。 考察:これは通常イスが冷たさや硬さが強く感じられることや,これまでの学校での経験が関係しているかもしれない。試作クッションは,改良チェアよりも見た目や生地の好み,座った際の柔軟性,快適性,しっくり感,入手欲求が有意に下回ったが,7件法で1以上の差はなく,価値の方向性も同様であるため,廉価版であることを考慮すると,十分妥当な評価の範囲と考えられる。「シャンとした」感じは,改良チェアより試作クッションが高く,ウレタンの硬度がこの評価に影響すると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は,コロナ禍の影響で,実験室の計測機器を用いた対面の個別実験が実施できなかった。その理由としては,(a)防音室の性質上,換気が困難であること,(b)実施にあたっては,実験参加者,実験実施者,データ記録者の最低でも3名が必要となり,実験室の中でソーシャルディスタンスを十分に確保できないこと,(c)イスやクッション,キーボード,ディスプレイなどの消毒により,どうしてもアルコール成分が残り,それが心理的・生理的に影響することが懸念されたことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
進展を妨げている問題は,ひとえにコロナ禍の状況であるため,感染拡大状況が落ち着き,以前と同じ対面での活動が再開すれば,すべて解決するものである。しかし,以前とまったく同じ状況にすぐに戻るとは考えにくいため,感染対策をしながらの実施にならざるを得ない。 換気の問題を抜本的に解決するには,実験室以外の場所での実施も検討しなければならないが,実施可能な場所は学内にはほとんどなく,サーキュレーターなどで強制的に行うなどを試すことが考えられる。実験の際に,ソーシャルディスタンスを確保しにくい問題点については,参加者の場所をパーティションで区切ったり,実施者がZoomなどを通して遠隔で教示を行ったり,記録者も別のパーティション内にすることなどが考えられる。消毒によりアルコール成分が残存する影響については,1日に行う実験の人数を極力減らし,またTVOCなどの濃度を測定することで,対応できるかもしれない。 いずれにしても,コロナ禍での安全安心な実験の実施に向けて,一つひとつできることを検討していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張ができず,加えて対面実験も実施できなかったため,それに充てていた旅費と人件費・謝金が残金となった。次年度では,感染対策を講じたうえで実験を行い,オンラインでの学会参加などの機会も活かしたい。
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