2018 Fiscal Year Research-status Report
親密な関係における暴力(IPV)の双方向性:発生・深刻化過程の縦断的調査研究
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18K03091
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹澤 みどり 富山大学, 保健管理センター, 講師 (90400655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮前 淳子 香川大学, 教育学部, 准教授 (10403768)
寺島 瞳 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (30455414)
松井 めぐみ 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 准教授 (60400652)
宇井 美代子 玉川大学, 文学部, 准教授 (80400654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 親密な関係における暴力 / 双方向暴力 |
Outline of Annual Research Achievements |
親密な関係における暴力(Intimate partner violence: IPV)加害経験を測定するための尺度を作成することが第一の目的であった。まず,身体的暴力・心理的暴力・性的暴力から成る包括的IPV被害経験尺度(宮前・竹澤・宇井・寺島・松井,2017など)を基に加害経験を測定するためのIPV加害経験尺度の項目を作成した。次に,次年度以降にIPVの双方向性を検討する調査で使用するため,2017年に実施したデータを用いて身体的暴力・心理的暴力・性的暴力から成る包括的IPV被害経験尺度の短縮版を作成し,確認的因子分析によって因子構造を確認した。その結果,全てのパス係数は1%水準で有意で.35以上を示し,各適合度指標は高い適合度を示した。 次に,作成した加害尺度項目を用いて,18~29歳の男女それぞれ400名を対象にWEB調査を実施した。加害経験尺度の短縮版を作成するため,被害経験尺度の短縮版に対応する加害経験尺度の項目を用いて,被害経験尺度と同じ因子構造であると仮定し,確認的因子分析を行った。その結果,全てのパス係数は1%水準で有意で.35以上を示し,各適合度指標は中~高程度の適合度を示すことを確認した。さらに,加害経験尺度短縮版の各因子に含まれる項目の合計点を下位尺度得点とし,男女で差があるかどうかt検定を行った。その結果有意な差が見られ,男性は性的暴力の中の「性的無理強い行為」の加害経験が多かった。女性は心理的暴力の中の「束縛」,身体的暴力の「軽~中程度の身体的暴力」の加害経験が多かった。これらの結果から,暴力の加害経験には行為によって男女で差があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた加害尺度項目の作成,被害経験尺度および加害経験尺度の短縮版の作成が終了していることから,概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,作成した被害経験,加害経験尺度を用いて,IPVの双方向性を縦断調査によって検討していく。 さらに、これまで得られた知見を学会、論文等で順次発表していく。
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Causes of Carryover |
今年度の研究打ち合わせが,すべて東京での開催であったため,大学の所在地が東京である研究分担者の旅費が余った。次年度も東京で打ち合わせを開催することが多いことが考えられるため,余った分はそのまま旅費とし次年度は,その分地方大学所属の分担者の旅費に回す予定である。また,今年度の調査費が想定よりも安い費用で実施することができたことから,その分の研究費が余った。次年度は縦断調査の1回目を実施する予定である。3回の縦断調査に耐えうるだけのデータを確保することが重要であるため,本年度余った調査費は次年度の調査費に加えて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)