2020 Fiscal Year Research-status Report
高次脳機能障害者の認知機能障害と社会的行動障害の包括的アセスメント技法の開発
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18K03097
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
山下 光 関西福祉科学大学, 教育学部, 教授 (10304073)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 神経心理学 / 高次脳機能障害 / 空間性注意 / 利き手 / 利き足 / 社会的行動障害 / 心理劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に関しては新型コロナ肺炎の蔓延による研究機関の研究活動停止、学会等の予定変更、及び研究代表者の年度途中での研究機関の移籍によって、これまで収集したデータの分析以外の研究活動はほとんど遂行できなかった。そのような状況の中で2つの論文が完成し、公刊された。 1)gray scales taskは、反応の安定性が高く数量化も容易な空間性注意のバイアスの測定方法として、世界各国で使用報告が増加している。しかし、この課題における利き手と性別の効果に関しては研究が少なかった。また、この課題の水平刺激では文字が左側から書かれる欧米語の使用者では左方に、右側から書かれる言語の使用者では右方へのバイアスあるいはバイアスが存在しないという結果が報告されてきた。また、垂直刺激では欧米語の使用者は上方へのバイアスを示すが、右側から書かれる言語の使用者に関しては報告がない。特に日本語は縦書きと横書きの表記の違いがあり、それによって左右の書字方向も変化する。この日本語使用者の研究そのものが少なかった。そこで、128名の大学生(左利き男性群、左利き女性群、右利き男性群、右利き女性群各32名)を対象とした実験的研究を実施した。今回の研究によって、日本語使用者は、欧米語の使用者と同様に水平刺激では左側への、垂直刺激では上方への注意のバイアス示すことが分かった。また、利き手と性別は、注意のバイアスの方向性や強さに影響を及ぼさなかった。この結果は、神経科学の国際ジャーナルであるCulture and Brain誌に掲載された。 2)最近、高次脳機能障害者やその家族の心的ストレスのマネージメントや社会性のトレーニングの技法としても注目されている心理劇を、簡便に実施する方法について、学校の教員を対象とした予備的研究を実施した。その効用や問題点について検討を行い、愛媛大学教育実践総合センター紀要で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に関しては、新型コロナ肺炎の蔓延による研究機関の研究活動停止、学会等の予定変更、及び年度途中の研究代表者の研究機関の移籍によって,これまで収集したデータの整理以外の研究活動はほとんど遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本来ならば2020年度で補助事業期間が終了する予定であったが、期間の延長を申請して承認された。今後は主に論文の完成、公刊を目指した作業を行う予定である。特にgray scales taskを使用した空間性注意のバイアスの発達的変化に関する論文は既に投稿され、審査中である。また、空間認知の発達の個人差に関する研究、利き手と利き足の関係に関する研究等も原稿作成の段階にあり、最終年度中の投稿,掲載を目指している。投稿先については海外のオープンアクセスジャーナルも視野に入れて検討している。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナ肺炎の流行による研究機関の研究活動の停止と、代表者の研究機関の移籍が重なり、データ処理と論文作成以外の研究活動がほとんど実施できなかった。最終年度はさらにデータ処理と論文作成に力を入れ、多くの原稿の完成、投稿、掲載を目指す。そのために必要なソフトウエアの購入、英文校閲、審査料、掲載料、オープンアクセス費用等への支出を予定している。
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Research Products
(2 results)