2021 Fiscal Year Research-status Report
Characteristic of prosocial behavior for anger among elementary and junior high school students.
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18K03099
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺坂 明子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10760176)
石津 憲一郎 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40530142)
大月 友 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20508353)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小学生 / 中学生 / 怒り / 攻撃性 / 対処 / ストレスマネジメント / ソーシャルスキル / 反すう |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題のうち、「子ども用怒り対処尺度」については、小学校高学年から中学生を対象とした尺度作成に係る論文を1本公刊することができた。本尺度は、(1)問題解決思考、(2)笑いへの転化、(3)肯定的解釈、(4)サポート希求、(5)身体的沈静化、(6)認知的回避、および(7)表出抑制の7下位尺度(27項目)から構成されており、怒りを攻撃的でない形で表出する方法を幅広く測定することが可能である。また、本尺度とメンタルヘルスの指標(抑うつ、不安、情緒的課題)との関連を検討し、結果について学会発表を行った。怒り対処はいくつかの指標と正の相関を示したことから、怒り対処のサポートに際しては、メンタルヘルス面への影響を考慮する必要がある点を考察している。 次に、研究課題のうち「子ども用怒り反すう尺度」については、中学生を対象とした尺度作成に係る論文が1本、学術雑誌に採択され、現時点で印刷中となっている。本尺度は、(1)原因理解、(2)怒り記憶、(3)怒り再考、(4)報復思考という原尺度と同じ因子構造が再現されており、海外の知見と直接的に比較可能であるという利点も有している。 また、怒りの適応的な処理のあり方を検討するため、中学生を対象としたストレスマネジメント教育およびソーシャルスキル教育の実践動向をレビューした論文を1本公刊した。本研究により、ストレスマネジメント教育は,様々な学年を対象とし、保健体育や総合的な学習の時間を中心に、主に概念教育とリラクセーション技法が実施されていたこと、一方のソーシャルスキル教育については、1年生を対象に主として道徳や総合的な学習の時間に実施されており、「聴き方」や「アサーション」に関する実践が多かったことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた心理教育の実践が、コロナ禍の影響で前年度に予定通りのスケジュールで実施できなかった。昨年度および本年度において、一部の予定を変更して今年度実施している。データについてはすでに収集しており、現在分析を進めているところである。コロナ禍という予期せぬ要因により研究が遅延したため、研究期間を1年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、現在収集されているデータを分析し、怒り対処、怒り反すうそれぞれについて、学会発表および論文の投稿を行っていく。また、心理教育のあり方を多面的に検討するため、前年度に引き続き今年度は、小学生を対象としたストレスマネジメント教育およびソーシャルスキル教育のレビュー論文を執筆予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定していた国際学会への参加がオンライン等となったため、次年度使用額が生じた。 次年度については、コロナ禍の状況が落ち着いていれば、国際学会への現地参加を中心に使用する。万が一コロナ禍の影響により国際学会への現地参加ができない場合には、研究計画を変更し、調査研究(オンライン調査)等を実施する予定である。
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