2019 Fiscal Year Research-status Report
The structure of empathy in autism spectrum disorder: Comparison with the Thematic Apperception Test(TAT) human representation in schizophrenia
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18K03101
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
関山 徹 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40363600)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム / 共感 / 投映法 / 投影法 / TAT / 統合失調症 / 物語 / アスペルガー症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、自閉スペクトラム症(ASD)者における共感の構造をとらえるため、文献研究を続けると共にデータの追加収集をし、それらの分析と学会発表等を行った。 データ収集に関しては、児童発達支援放課後デイサービス機関との協力関係を継続し、TATと対人コミュニケーション質問紙(SCQ)、雨中人物画の量的・質的データの追加をした。また、昨年度までに得られたデータの7割程度は電子データ化し、テキストマイニングのための準備を進めた。 得られたデータ等を使用して、日本犯罪心理学会においては口頭発表、日本ロールシャッハ学会においてポスター発表を行った。前者の発表では、TATにおける平凡反応の設定を試みて、同一被検査者(大学生)のMMPI新日本版データとの関連から、その解釈上の意味について検討した。これは、平凡反応として、鈴木睦夫(1997)の物語反応分類に依拠して基本反応(約7割の出現率)と中核反応(約4割の出現率)を設けたもので、ASD者の反応を定型発達者と比較する際の基盤となる基礎的研究である。その結果、基本反応の多さは、精神的健康や常識性を反映しやすいという知見が得られた。 また、後者の発表では、ASD者における人間表象把握、すなわち共感の特徴について、中学生のTAT反応を用いて検討した。その結果、ASDの中学生は対人的関心の認知的側面はある程度保っている一方で、能動的に対人的関心を向ける側面や情動的な側面は不得意とする傾向があると推察された。さらに、その内容をもとに紀要論文をまとめた。そのなかで「TAT人間表象スケール」と名付けた評価スケールも示して、TATを用いて被検査者間や群間の特徴を比較するための道具立てを整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献研究とデータ収集をしつつ、主にデータ分析に力点を置いて取り組んだ。具体的には、愛知県の児童発達支援放課後デイサービス機関の協力を得て、追加のデータ収集を行った。また、これまでに得られたデータを整理するだけでなく電子データ化も進めた。これは、今後のテキストマイニングのための準備であり、ナラティブ・データの客観的な分析のために必須の作業である。そして、日本犯罪心理学会と日本ロールシャッハ学会において、口頭発表とポスター発表を行った。後者の成果をまとめて、紀要論文にも発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに文献研究を深めつつ、テキストマイニングの手法も活用しながら自閉スペクトラム症者の人間表象の把握パターンを分析し、雨中人物画の結果との関連も考慮しながら、共感の構造について検討していく。また、他の精神疾患の事例とも照合し、学会発表をして他の研究者の意見を踏まえつつ、本研究の最終的な成果をまとめていく。
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