2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03107
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
冨家 直明 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50336286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 食行動 / DDBS / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,認知的要因をMetS発症の予測因子または増悪因子として捉える指摘が相次いでいる。しかし現況は百花斉放であり,それぞれが独自の構成概念を想定していている上に,相互を関連づける研究が乏しいことから,食行動に関与する認知的要因の整理が必要である。そこで,ダイエットに関する認知的要因を包括的に測定する尺度としてDysfunctional Dieting Beliefs Scale(DDBS)を作成し,MetS発症の予測因子となりうる食行動関連性の高い認知的要因を測定できるようにした。 調査1では大学生301名,調査2では大学生126名を対象に自記式質問紙を実施した。探索的因子分析の結果, 4因子が抽出され,尺度の内的整合性,再検査信頼性は許容できる値であった。DDBS得点は不合理な信念,食行動異常と関連することが示された。探索的因子分析の結果から, ダイエットに関する非機能的信念は「感情との結びつけ」「ミスヘのとらわれ」「ヨントロール感の乏しさ」「過剰な正当化」の4因子から構成されることが示唆された。DDBSは測定尺度として十分な信頼性を有する尺度であることが示唆された。また,DDBS得点の男女比較においては,男性よりも女性の方が高い得点をとる傾向にあった。若年女性は男性よりも食行動異常を生じさせやすいことが既に示されており,本研究の結果はDDBSの併存的妥当性を支持するものといえる。特に,下位尺度では感情との結びつけ」「ミスヘのとらわれ」において女性が高い得点をとる傾向にあった。このような特徴は,「感情との結びつけ」「ミスヘのとらわれ」に通ずると考えられ,これらの下位尺度が女子大学生のダイエットの成功を阻む特徴的な認知的傾向を反映したと推察できる。 DDBSはダイエットに関する非機能的信念を測定する尺度として十分な信頼性・妥当性を有しており今後の研究の材料として活用可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学術雑誌におけるDDBSの採択に当初の想定よりも時間がかかり、その後の実証作業に遅延が生じたものの、採択の通知を無事に得られ、調査協力体制も確立できたので、遅れは回復することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
その後, 栄養教育と認知行動療法を統合させた認知行動的栄養教育プログラムを制作し,その効果を縦断的に検証することも行う。 調査対象者:若年者の肥満,やせ,標準体重の率を参考にし,かつ混合軌跡モデリングにおいて頑健な推定を保証するといわれるN = 300以上の標本サイズ(Nagin, 2005)をクリアするサンプリング量として事前推計したn数は1学年600人であり,高校3年及び大学1年生の2学年計1,200名以上を対象とした調査研究を行う。研究対象地である北海道の食生活は都市部,海岸部,内陸農村部で異なると言われているため地域の偏りがないサンプリングを丁寧に実施し、最終的に絞られた高校計20 校を対象に研究協力参加を呼びかける。一方,大学生は札幌を中心に大都市圏に集中することから地域の層別化はせず任意抽出法とし,大学1年生600人を募集する。 調査尺度:食動関連の不合理な信念尺度(DDBS),「食行動質問票」,「日本語版Eating Attitude Test-26」,「Three-Factor Eating Questionnaire日本語版(TFEQ)」,「日本語版Dutch Eating Behavior Questionnaire」,「Binge Eating尺度」,「ダイエット行動尺度」及び身体属性項目。 調査方法:Web調査法を用いる。 統計解析:高校3年および大学1年生に,調査及び教育介入を実施しその後も3年以内の経年変化を測定し続ける。解析は混合軌跡モデリング法を実施する。
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Causes of Carryover |
研究の遅延により、学校現場において健康教育を実施する年度が来年度になったために、それに関連する諸費用の執行が翌年に持ち越された。そのために次年度の使用額の変更が生じているが、執行の内容は当初の計画の範囲で行われる予定である。
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Research Products
(2 results)