2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03107
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
冨家 直明 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (50336286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイエット / 非機能的信念 / 認知行動療法 / 大学生 / 栄養教育 / ストレスマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,肥満に関連する生活習慣の変容を目的として,認知行動理論に基づく介入プログラムが開発されている。認知行動的介入の特徴は,食生活の問題を食事内容や食事量に関する知識不足や動機づけの問題と捉えるのではなく,不適切な食行動を維持させる特有の認知・行動的パターンが背景にあると仮定し,その修正をねらうという発想にある。このような食行動に関連した異常な認知・行動的パターンは,大学生においても,普通体重群(BMI が18.5以上かつ25.0未満)に比べて過体重・肥満群(BMI が25.0以上)で多くみられ,将来の肥満リスクを予測する可能性が示唆されている。それゆえに,予防的取組の一環として,大学生の認知・行動的パターンにアプローチすることにより,将来のMetS リスクを低減できる可能性があると考えられる。先述したダイエットの妨げとなる認知的要因を「ダイエットに関する非機能的信念」と概念化した上で,それらを包括的に測定する尺度としてDysfunctional Dieting Beliefs Scale(DDBS)を新たに作成し,大学生を対象として信頼性・妥当性を検証することを目的とした研究を行った。探索的因子分析の結果, 4 因子が抽出され,尺度の内的整合性,再検査信頼性は許容できる値であった。DDBS得点は不合理な信念,食行動異常と関連することが示された。DDBS はダイエットに関する非機能的信念を測定する尺度として十分な信頼性・妥当性を有することが確認された。このほか高校生を対象とした健康栄養状態、及び社会情動的側面と精神的健康に関する関連性を検討する基礎的調査研究を行い、健康栄養状態と精神的健康度の強い関連が示唆された。以上の成果から、健康栄養指導を含めた生活改善とメンタルヘルス保護のための教育プログラムの融合には大きな意義があるものと認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中心的な測定尺度であるDysfunctional Dieting Beliefs Scale(DDBS)が査読雑誌を通過した。ダイエットに関する非機能的な信念が肥満以前の未病状態から生じており、これが予後に影響を及ぼすという肥満の発達に関する視点が理解されにくい点は難儀しているが、継続的なデータの測定そのものは開始しており、研究進行上のロスは生じないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは大学生と高校生を対象に生涯健康に関する教育の必要性を踏まえた教育プログラムを用意する。認知行動療法をベーストしたストレスマネジメントパッケージに対人関係教育や健康栄養教育を加味した教育単元を追加し、インターネット上で提供される教育を実施して、その効果を判定する。すでに大学生と高校生において試験的な先行研究を実施しており、今後は順次症例数を増大させていく予定である。学会発表ができなくなる可能性があるが、代わりにインターネット上での公表などを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ流行による2019年末からの状況の変化により、海外の学会出張を取りやめるなどの異常が生じるとともに、連携先の学校においても健康栄養学的指導よりも感染症対策を優先するニーズが発生したため、本研究のデータ収集に関する時期を翌年度に持ち越すこととした。しかしながら実施内容については予め予定したことが行われる計画であり、目指す研究の実施成果に大きな影響は与えない。
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Research Products
(6 results)