2020 Fiscal Year Research-status Report
更生保護施設に対する地域住民の態度に関与する要因の検討-再犯防止の視点から
Project/Area Number |
18K03111
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
小俣 謙二 駿河台大学, 心理学部, 教授 (60185668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川邉 譲 駿河台大学, 心理学部, 教授 (90544940)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 更生保護 / 再犯防止 / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、再犯の防止は更生保護・矯正研究において重要な問題となっている。こうした現状を改善するために、国は自立更生促進センターあるいは更生保護施設への支援などを行っている。しかしその施設数は十分ではなく、またこうした施設の開設が地域住民によって理解されることはない。したがって、更生保護施設などの建設に対する地域住民の理解を促す要因を明らかにする研究は、再犯防止にとり重要な意味を持つにもかかわらず、研究は少ない。 このような問題意識から、筆者らは2018年度には更生保護施設に対する地域住民の拒否的態度に係わる要因に関する調査を行った。調査は、男女各500名、20歳以上70歳未満の一般市民を対象に行われた。その結果、地域住民の更生保護施設受け入れを促すには、入所者の再犯に対する防犯措置と、住民の不信感の解消が重要であることが示された。また、これらの研究成果の学会(日本心理学会第83回大会,2019、日本犯罪心理学会第57回大会,2019)や論文発表(駿河台大学論叢, 2019,vol59)を行った。 2020年度では既存の更生保護施設の開設時の市民との関係の状況、現時点で、更生保護施設が、先の市民調査で明らかとなった市民の不安に対して、どのような対応を行っているのかを明らかにすることとした。方法としては、全更生保護施設を対象に質問紙調査をおこない、結果を日本犯罪心理学会において発表した(日本犯罪心理学会第58回大会,2020)。また、前年度の市民調査の結果を論文化した(犯罪心理学研究,2021,vol58)。また、さらなる調査または更生保護施設に対する聞き取り調査を実施する予定であった。しかし、新型コロナの感染拡大により、これらの調査が実施困難となった。したがって、調査期間の延長を申請し、これらの研究活動を継続することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度では、実績概要で述べたように、市民調査と更生保護施設調査の結果を受け、施設建設に対する市民の拒否的態度のさらなる検討を行い、かつ、更生保護施設に対する聞き取り調査を行う予定であった。これらの結果を総合的にまとめて本研究の目的である、更生保護施設等への市民の拒否的態度と施設側のあるべき対応を論じる予定であった。 しかし、研究実績の項でも述べたように、新型コロナの拡大等による移動制限や大学等の機関の閉鎖などにより、新たな展開が困難となった。すなわち、各地の更生保護施設を訪れ、面談による聞き取り調査を行うためには国内移動、遠隔地への移動が必要である。しかし、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などによる活動制限のため、実施困難となった。これが、本研究の進展の遅れの主たる理由である。 とはいえ、これまでの研究では一定の成果が得られているため「(3)やや遅れている」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、まず、予定していた市民調査を実施する。 また、新型コロナの感染状況をみつつ、可能であれば、更生保護施設を直接訪れ、聞き取り調査を実施する。 また、現在得られている更生保護施設対象の調査を論文化する。
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Causes of Carryover |
前年度、新型コロナの感染拡大による緊急事態宣言が発出されたため、当初予定していた更生保護施設への対面インタビューが全くできず、そのために組んでいた旅費、謝礼費などが消費できなくなった。同じ事情で、学会もすべてオンラインでの実施となり、旅費等の予算を消費する機会がなくなった。さらに、大学の授業もオンラインとなり、予定していた調査も実施できなくなり、予算の消費ができなくなった。 このような事情で前年度予算の消化ができず、予算が残り、研究機関の延長という事態となった。今年度も新型コロナの影響は見通しが立たないため研究計画も流動的とならざるを得ない。事情が許す範囲で上記の研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)