2018 Fiscal Year Research-status Report
外傷性脳損傷者の前頭葉機能障害のテレリハビリテーション:行動・脳波指標による検討
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18K03117
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
柴崎 光世 明星大学, 心理学部, 教授 (00325135)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 前頭葉機能障害 / テレリハビリテーション / 認知リハビリテーション / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,慢性期の外傷性脳損傷(TBI)者を対象に,インターネットを利用したデリバリー型リハビリテーション(テレリハ)による在宅ベースの前頭葉機能リハを実施し,その有効性について行動及び脳波データの両側面から検討することを目的とした.平成30年度は,前頭葉機能のうち,TBI者の社会復帰と密接に関係するワーキングメモリと遂行機能の2つを取り上げ,これらの機能の促進をねらいとした,タブレットパソコンを利用した在宅認知リハプログラムの開発をおこなった(研究1).個々の認知リハプログラムについては,課題要求がわかりやすく,在宅でも取り組みやすいこと,対象者の特性や認知リハの進捗にあわせて難易度が容易に操作できること,即時フィードバックが可能で,興味を持って取り組めること,といった点をもとに選定した結果,ワーキングメモリについては,スタンバーグ課題(言語的,視空間的ワーキングメモリ),神経衰弱課題(言語的,視空間的ワーキングメモリ),Paced visual serial addition test(中央実行系),情報統合課題(中央実行系),遂行機能については,単純反応時間課題(反応性),Go-nogo課題(反応抑制),刺激‐反応適合性課題(反応抑制),後出しじゃんけん課題(反応抑制,構えの転換),表情同定・認知課題(社会的認知)の各課題をもとに作成した訓練課題を採用することとした.また,テレリハの実施に先立ち,患者の家族を対象にテレリハ導入に関する予備調査をおこなったところ,テレリハに対するニーズや期待が示された一方,パソコン操作などの技術面の不安,インターネットセキュリティやタブレットパソコンに標準で付属するゲームソフトへの没頭に関する危惧,といった問題の指摘があり,これらの問題点をふまえて訓練プログラムを開発する必要性が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で実施するテレリハプログラムを構成する訓練課題について,研究の開始当初は,そのほとんどを研究代表者が過去に開発した認知課題を再利用することを計画していた.しかし,これらの認知課題について,TBI者が自身で課題操作をおこなった場合のユーザビリティやアクセシビリティに関して細かく検討したところ,修正すべき点が多数発見され,課題によってはプログラムを大きく書き換える必要が生じた.さらに,インターネットに接続されたタブレットパソコンをTBI者に一定期間貸し出すことによって危惧されるセキュリティ上の問題(SNS等への書き込み,有害サイトへのアクセス,勝手にインターネットショッピングをしてしまう,など)や,タブレットパソコンに標準で付属するゲームソフトへの没頭について,患者の家族から複数の指摘がなされ,これらの問題点に対応する必要も生じたため.
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Strategy for Future Research Activity |
テレリハプログラム開発にあたっては,適宜,福祉工学の専門家に技術協力を仰ぎ,インターネットセキュリティ上の問題等への対応も含めて,プログラムの完成度の向上をはかる.また,テレリハプログラムを構成する個々の訓練課題のパイロット版を大学生やTBI者に体験してもらい,意見を求めることで,各訓練課題の難易度を適切に設定したり,ユーザビリティやアクセスビリティの向上を促進させる. さらに,本研究で実施するテレリハによる在宅認知リハの効果を測定するための評価課題の開発や,これにあたっての基礎データの収集を促進させるために,実験実施やデータ解析を補助するリサーチアシスタントの雇用を予定している.
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Causes of Carryover |
<次年度使用額が生じた理由> 本研究の開始当初は,初年度(平成30年度)にテレリハで使用するタブレットパソコンを訓練課題開発用も含めて10台程度購入することを予定していた.しかし,タブレットパソコンの軽量・高機能化や低価格化が刻々と進んでいる現状を鑑みると,初年度については訓練課題の開発に最低限必要な台数(2台)のタブレットパソコンのみを購入し,残りについては,訓練課題の開発を終え,テレリハを本格的に実施するタイミングで購入したほうが効率的と考えた.このような理由により,今年度中の購入を控えた約8台分のタブレットパソコンに対する予算が次年度使用額として生じている. <使用計画> 訓練課題の開発やパイロット版を用いた予備的な調査を終え,TBI者を対象にしたテレリハによる介入研究を実施する際に,上記の次年度使用額を用いて訓練用のタブレットパソコンを8台程度購入する予定である.
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Research Products
(3 results)