2018 Fiscal Year Research-status Report
発達に課題がある子どもへのチームスポーツ指導プログラムの開発とその評価
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18K03119
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Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
藤後 悦子 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (40460307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 恵 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (30454185)
井梅 由美子 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (30563762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / スポーツ・ハラスメント / スポーツ・ペアレンティング / ジュニアスポーツ / 地域スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
地域スポーツを担うボランティアの指導者は、発達的視点や教育学的視点などを学ぶ機会が保障されておらず、スポーツへの熱意が行き過ぎた指導であるスポーツハラスメントにつながりやすい。特に、不器用さや集団へのなじみにくさの特徴を持つ子ども達は、ハラスメントの被害に遭いやすい。現在教育現場では「合理的配慮」の必要性が指摘されているが、地域スポーツにおいてはその視点は弱い。また地域スポーツは親の関与が不可欠であり、チームの保護者もスポハラの加害者、容認者、被害者にもなりえるため、親を対象に「合理的配慮」の必要な子どもの理解を促す必要がある。そこで、本研究では、はじめに地域スポーツにおける、発達障害児への運動指導の実態と支援ニーズを発達障害児、指導者および保護者を対象として明らかにすることを目的とした。 まず初めに、2018年夏に8名の発達障害児の親を対象としたインタビュー調査を実施したところ「受け入れてくれる場所が少ないこと」「他児とのトラブル」「上達しないことによるジレンマ」という状況が示された。その後、対象を広げ自由記述による質問紙調査を20名の発達障害児の親に実施した。親自身への子ども理解を促すために、2018年12月にバスケスクールの保護者を対象にペアレント教室を実施し、その成果をまとめた。 次に指導者の困り感を明らかにするために、21名の地域スポーツの指導者を対象にオンライン調査を実施したところ、指導者も発達障害児への指導に困り感を頂いていることが示された。次に、指導者を対象にインタビュー調査を実施し、自由記述では確認できなかった指導の困り感と指導の工夫点を明らかにした。さらに、特別支援や地域スポーツが充実しているフィンランドとドイツでのインタビュー調査を実施し、合理的配慮を伴った運動プログラムの開発に必要な要素を取り出した。これらの結果を現在まとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、①特別ニーズ児の親、指導者それぞれにインタビューを実施し、②その結果に基づいた尺度開発を行うこと、および③海外視察を踏まえた特別ニーズ児に必要な要素抽出を行う予定であった。①のインタビューは、地域スポーツの種類や形態を特定種目ではなく、幅広く検討したことから予定以上にサンプリングに時間がかかり、インタビューの日程調整が難しかった。そのため、インタビュー結果に基づいた尺度開発までは時間的な関係上難しかった。その他の部分においては、順調に研究は進んでいる。 特に運動プログラム開発の前提となる、指導者へのアプロ―チと親へのアプローチとして、実際に親向けのペアレンティング教室を実施し、親のニーズ把握や勝利至上主義に傾かない価値形成について一定の効果を得られたことは成果に値する。 具体的な成果としては、特別ニーズ児への親に対するインタビューを実施し、2019年度の日本心理学会にて成果を発表予定である。指導者インタビューについては、現在分析を開始し始めた。また、特別ニーズ児への支援が充実しているフィンランド、および地域スポーツが盛んであるドイツでのインタビュー調査や視察を踏まえ、現在論文を執筆中である。 そして昨年度、保護者を対象に2回ペアレント教室を実施しており、その成果は2019年度こども環境学会にて発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
4年を見通しての研究であるために、昨年度の遅れは今年度でおおよそキャッチアップできる予定でいる。 今年度の計画は、2019年夏までに特別ニーズ児の保護者対象、および地域スポーツの指導者を対象としたインタビュー結果の分析を行い、論文として投稿する。2019年夏以降は、インタビュー調査から得られた項目を基に、保護者および指導者を対象としたオンライン調査を実施する。オンライン調査の内容は、特別ニーズ児のスポーツハラスメント、スポーツペアレンティングなどに関して調査を行いスポーツペアレンティングとスポーツハラスメントに関連するモデルを作成する。2020年度に向けて、これらのモデルを踏まえた運動プログラム案を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度実施予定のオンライン調査を今年度実施するため
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