2020 Fiscal Year Research-status Report
レジリエンス醸成を目指した高等教育課程へのポジティブ教育の導入と縦断的効果検証
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18K03120
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 かおり 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (20447808)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Positive Psychology / Positive Education / well-being / signature strength / 高等教育機関 / 初年次教育 / 予防教育 / 縦断的効果検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
「大学全入時代」といわれる現代社会では、多くの青年が「思春期危機」を大学入学後に迎える。事実、キャンパス内には精神障害を抱えたり自死してしまう学生が散見され、授業に出席できず、ひきこもり状態にある学生も増加している。加えてCOVID-19蔓延という想定外の緊急事態下で、学生への心理的・経済的負担は計り知れない状況となってしまった。かかる現状から導き出される有力な方策は、well-beingを高めていくための知識とスキル、すなわち、レジリエンスの陶冶を目的としたカリキュラムを大学教育課程の中に組み入れることである。 21世紀の偉大な心理学者のうちの1人と言われるマーティン・セリグマン教授は1990年代後半、「どうすればもっと健康度合いを高めることができるか」、あるいは、「どうすればレジリエンスを育成できるか」という命題を掲げ、Positive Psychologyを創生し、発展に寄与してきた。 Positive EducationはPositive Psychologyを基礎に置いた教育手法であり、先進国においては義務教育の段階からPositive Educationを導入しようとする動きがある。しかし、本邦の高等機関におけるポジティブ教育の試みは僅少である。 本研究の目的は、金沢工業大学の新入生に対してPositive Educationを行い、健康度合いを維持発展させる力、すなわち、レジリエンスの陶冶に貢献できるかどうかを検証することである。 対面授業がなくなったが故のデータ収集が困難になり、2020年度は参加予定であった全ての学会が延期や中止となった。緊急事態への対応で研究遂行にまで手がまわらず、僅かに2020年度入学生の年度末データを入手するにとどまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度初頭からのCOVID-19対応で研究実施もままならない状態が続き、対面授業が減った故の当該授業実施やデータ収集が困難になっていた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度入学生への当該授業の実施とpre&postのデータ収集は問題ないと想定しているが、今後の感染状況に依るところあり。WEB授業で対面授業同等の効果が得られるよう、遠隔授業に関する情報収集も引き続き必要となる。ひとまず分析が終わっている単年度の成果発表については延期されていた国際学会で発表すると共に、WEB開催に切り替わった国際学会への参加を通し、他国の教員や研究者からもPosiEdに関する最新情報を入手したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19対応に追われ研究実施どころではない年度となり、諸々使用する機会すらなかったが、WEB開催に切り替わった複数の国際学会への参加が可能となったため、参加費が生じている。
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