2021 Fiscal Year Research-status Report
青年期の解離性自傷に対する訪問型心理教育プログラムの開発
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18K03121
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
舛田 亮太 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (30547055)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自傷 / 解離 / 心理教育 / トラウマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1.解離性自傷を説明するための心理教育テキスト作り、2.作成したテキストを高校大学で実施すること、3.心理教育実践の効果検証であった。2021年度は、2020年度に引き続き、covid-19のため、対面式の教室内で心理教育及び調査を行うことは困難であった。従って、2021年度は、covid-19流行以前に収集したデータを中心に分析を行った。第1に、2020年度に発表した高校生用テキストを用いて、心理教育を行った自由記述データを分析した。A女子高校生25名のうち,研究協力利用の同意が書面で得られた25名を分析対象とした。結果、「自身のメンタル管理も意識する」「しっかり休む」などが共通要因として抽出された。2019年度に発表した大学生データの分類結果(「自己理解としての有用性」「他者理解時の有用性」「人的資源の重要性」)と比較すると、高校でのメンタルヘルスに関する臨床心理学教育導入の重要性が窺えた。課題としては,実施者が教師ではなく心理臨床家であったことによる自由記述結果へのバイアス,自由記述を行う場合の安全性と弁別性を両立した問いの再検討などが挙げられた。第2に、心理的安全感について、トラウマに関する内容を扱った学部演習授業の取り組みを振り返り、クラス集団、教員、大学、地域というように同心円状に保護することで、受講者側の心理的安全感が高まる可能性を提言した。これらの手法が、高校で解離性自傷やトラウマに関する内容を扱う際にも同様に心理的安全感を高める可能性については、今後更なる検討が必要である。以上の結果は、日本心理臨床学会第40回大会、アジア犯罪学会第12回年次大会のweb大会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
covid-19による影響のため、直接的に教室に訪問する調査活動は全て行えなかった。オンライン上でのデータ収集については、本研究内容が非常に繊細な内容であることから慎重に検討する必要があると考えて実施しなかった。学会発表では、web大会の利点を生かして調査活動に関する意見交換を行うことはできた。しかし、事例検討などの対面で行う必要性の高い内容に関して議論することは困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年5月時点でもcovid-19の状況は安定しておらず、対面での活動は感染拡大対策をとりながら慎重に行われている。2022年度もコロナウィルスの感染拡大状況を十分に踏まえ、対面でのデータ収集を原則としながらも、引き続きその実施に関しては慎重な判断を行う。また、これまで収集したデータを活用し、高校生・大学生と生徒・学生を支える教育関係者との比較、可能であれば保護者データまで収集し、各立場からの比較検討を行いたい。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き、2021年度もコロナウィルスの影響により訪問調査活動は全て行えなかったため。また予定されていた学会も多くがweb大会へ切り替えられたため。従って、前年度使用額については、資料収集費用、分析に必要なソフトの維持費用、web大会の参加・発表費用などにあてる。
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