2019 Fiscal Year Research-status Report
がんの終末期の治療選択における意思決定のスタンスに応じた意思決定支援方法の開発
Project/Area Number |
18K03124
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
塩崎 麻里子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (40557948)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高齢期 / 意思決定 / 感情調整 / 価値 / 文化社会的背景 / 受容 / 親しい他者の死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は,以下の2点に要約される。 ひとつめは,昨年度の成果としてその重要性が示された「変えられない現実(愛する家族の死)に対する受容」に焦点を当てた研究を実施した。実際に家族を亡くした経験をもつ遺族に調査をする前段階として、仕事をしてかかわる大切な人の死を何度も質問紙を併用したインタビュー調査を実施した。まず,老いや死に向き合う上で経験した否定的な感情に関する発言を内容分析によって整理した結果,後悔(12名),理想と現実の葛藤(6名),喪失感や寂しさ(6名),ショック(5名),苛立ち(4名),重責感(3名),慣れへの恐れ(2名),無力感(2名)の8つのカテゴリーに分類された。また,辛い感情への向き合い方は,16個のカテゴリーに分類され,それらはさらに「今を大切にする」,「ひとつの視点に固執しない」,「感情に振り回されない」,「心理的離脱」,「大局的視点をもつ」の5つの大カテゴリーに分類できた。また得られたカテゴリーを用いて,介護士のレジリエンス得点との関連性をコレスポンデンス分析を用いて検討したところ,カテゴリーの布置は「変える‐受容する」「身近な視点‐広い視点」の2軸で捉えることができ,レジリエンスの高さと関連していたのは「大局的な視点」であることが示された。 ふたつめは、人生における重要な意思決定に影響を及ぼす「価値尺度」の開発準備である。現在,これまでの尺度にはなかった文化社会的背景の違いを反映させた価値認識のパターンを測定できる尺度開発の準備をしている。予備調査を行って集めあっれた項目から、精査して選定した全44項目(4因子構造を想定)を用いて,妥当性・信頼性の検討を行う質問紙調査を行う準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、体調を崩して、研究活動が予定通り遂行できなかった。しかし、準備を整えることはできたので、次年度は、準備をしてきた計画をすぐに実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの影響で、インタビューを想定通り行うことは難しいと考えるため、予定を一部変更して、研究を遂行する。一方、ウェブ調査は問題なく実施できると想定されるため、まずはがん患者と家族を対象に調査をする前段階の基礎的研究として、幅広い年代に対してのウェブ調査を実施する方向で、計画を進めている。
|
Causes of Carryover |
昨年度は、体調を崩したり、新型コロナの影響もあり、思うように研究を遂行することができなかった。その分の資金を用いて、昨年度実施予定であったウェブ調査を国際比較ウェブ調査に発展させて実施する。
|