2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a measure to foster sensitivity to attachment needs for daily clinical activities
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18K03136
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
工藤 晋平 名古屋大学, 学生支援本部, 准教授 (70435064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数井 みゆき 茨城大学, 教育学部, 教授 (20282270)
北川 恵 甲南大学, 文学部, 教授 (90309360)
中尾 達馬 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40380662)
梅村 比丘 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80805325)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アタッチメント / 敏感性 / アタッチメント情報カード / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1) 子どもや青年(以下、子ども)の支援に関わる現場の職員の観点から見た子どもの特徴や言動から、(2)アタッチメントの視点にもとづいて子どもを理解するのに適切と思われるものを抜きだし、(3)リスト化し、(4)それによって現場の支援者がアタッチメントの観点を用いて子どもを理解することができ、また、アタッチメントの観点そのものを滋養することが出来るようにすることである。 子どもの理解について、しばしば支援者にとって取り組みが困難であり、子どもたち自身にとっても不適応の指標と考えられる行動上の問題に焦点を当て、これまでに、児童養護施設や心理治療施設の職員、および家庭裁判所の調査官との事例検討を行った。事例検討では支援者のまとめた資料に基づいた検討を行うとともに、資料に現れた支援者による記述からアタッチメントの視点によって子どもの理解につながると思われる記述を、リスト項目として拾い上げた。拾い上げた項目をまとめ、同時に、各項目から得られるであろう理解について、研究代表者が解釈仮説を作成した。 当初はアタッチメントの観点から子どもを理解するための項目のリストを作成する予定であったが、試作版の段階でリストでは項目1つ1つへの注目度が下がることから、1つのカードに項目1つを記入した、カード形式として、アタッチメント情報カードを作成した。これには、児童養護・心理治療施設版と非行少年版とがあり、それは支援者が子ども関わる設定や、関わりを持つ目的、関係性のあり方などを反映した区別である。今年度はこの内、非行少年版について、その作成過程とカードの内容について、犯罪心理学会で発表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度までの段階で、上記の研究実績の内、アタッチメント情報カードを作成するところまでは完了しており、2020年度は研究協力者を募って、実際にアタッチメント情報カードを使用してもらい、その前後で支援者の子どもの理解が促進されるか、実際にカードを使用して得られる利点と欠点についてデータを収集する予定でいた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行によって、研究協力者を募る予定であった児童養護施設、心理治療施設は子どもと職員の感染防止に追われ、家庭裁判所も一時期機能を停止するなど、調査への協力が困難な状態となった。2020年度の夏には制限がありながらも活動は再開されて軌道に乗ってはいたものの、調査のために人を集めることは実際的に、また倫理的に難しい状況であった。 そのため、2020年度はアタッチメント情報カードの内容を洗練させること、今後も続くであろう新型コロナウイルスの感染状況に合わせた調査実施方法の再考、および支援者がアタッチメント情報カードを使用した際に、カードを用いて項目を選択してから、それに該当する解釈仮説を手に入れる過程をシンプルにするためのエクセルファイルの制作を行うこととした。また、カード化するにあたって、名刺サイズのカードを作製するための名刺カッターを購入し、試作を重ねた。これらは学術的な研究活動ではないものの、作製されたカードが実際に使用され、役立つものとなる上で重要な点であると考えられた。 こうしたことから研究には遅れが生じているが、新年度の早い段階で、ビデオ会議システムを用いた調査を行い、支援者にアタッチメント情報カードを試用してもらう期間を1年から半年に短縮することで、遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、以下のように考えている。(1)調査協力者の募集については、当初の予定では計50名の支援者としていたが、アタッチメント情報カードを2種類に分けたことから、児童養護施設・心理治療施設、家庭裁判所調査官を対象に参加を募り、それぞれについて25名、計50名の調査協力者を得る予定である。(2)集まった調査協力者を対象に、ビデオ会議システムを用いたアタッチメント情報カードをの使い方の説明会を複数回開催し、各調査協力者に対して個別に、ビデオ会議システムを用いてアタッチメント表象、および行動問題を示す子どもの動画(映画より抜粋)を用いた行動問題の理解の仕方を調査する。(3)アタッチメント情報カードとその使い方を記した資料、および解釈仮説を得るためのエクセルファイル、アタッチメント情報カードについてのフィードバック質問票を各調査協力者に送付し、6ヶ月間使用してもらう。フィードバック質問票には、アタッチメント情報カードを使用するたびに、振り返りを行った子どもの年齢、性別、行動問題、カードが有用であったかについての主観的知覚、足りないと思われる項目、などを記入してもらう。(4)6ヶ月後に再度、ビデオ会議システムを用いてアタッチメント表象、および動画を用いた行動問題の理解の仕方を調査する。(5)(2)と(4)の変化、および(3)のフィードバック質問票を統計的に分析し、アタッチメント情報カードがどのように使用され、主観的にどの程度有用と感じられたか、動画による行動問題理解にどの程度の変化があったかを検証する。
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Causes of Carryover |
調査の実施に伴う研究補助者の雇用、および調査協力者への謝金などを計上していたが、2020年度には調査が困難であると判断したために、その分の予算が余っているという状況である。調査は2021年度に実施する予定であるため、次年度使用額としてこれを使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] The circle of security parenting program and individualized video review improve Japanese parent-child relationship quality.2020
Author(s)
Kitagawa, M., Iwamoto, S., Umemura, T., Kudo, S., Kazui, M., & Matsuura, H.
Organizer
the 26th Biennial meeting of the international society for the study of behavioural development, Rhodes, Greece
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