2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Suicide Measures by Mindfulness-Based Cognitive Therapy
Project/Area Number |
18K03144
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 義徳 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (40367082)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 徳 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00422626)
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自殺念慮 / 敗北 / エントラップメント / OGM / MBCT / セルフ・コンパッション / マインドフルネス / IMVモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,自殺行動の統合的動機―意志モデル(IMV Model; O’Connor & Kirtley, 2018)の本邦における妥当性を検証すると共に,自殺念慮傾向者を対象にMBCTによる介入研究を行い,その効果を本モデルに基づきつつ検討した。 具体的には,自殺念慮に影響する認知的要因である「敗北」と「エントラップメント」を測定するDefeat and Entrapment Scale(DES)の日本語版の作成(研究1),大学生を対象とした調査によるIMVモデルの検証(研究2),IMVモデルにおけるマインドフルネス及び関連概念の調整効果の検討(研究3),自殺念慮傾向者に対するMBCTの効果研究(研究4)を行った。さらに,自殺念慮傾向者にMBCTが効果を発揮するメカニズムを検証するため,MBCTの効果メカニズムとして注目される,自伝的記憶の過度な概括化(OGM)に着目し,自殺念慮及びIMVモデルとOGMの関連性の検討(研究5),MBCT介入研究におけるOGMの効果媒介効果の検討(研究6)を行った。 以上の結果,まずはDESについては,先行研究とほぼ同等の信頼性,妥当性を有する,日本語版DESが作成された。次に,これを用いて大学生を対象に媒介分析及び媒介調整分析による検討の結果,敗北がエントラップメントを介して自殺念慮傾向を高める媒介効果が検証されたほか,特にマインドフルネスと関連する「セルフ・コンパッション」が,それぞれの媒介効果を調整する働きを有することが明らかとなった。 さらに,15名の参加者(M-39.33, SD=13.00)を対象に8週間のMBCTを行ったところ,介入前後でエントラップメント,マインドフルネススキルの有意な改善が認められた。 なお,IVMモデルに対するOGMの調整効果は示されなかったが,OGMの改善が,自殺念慮傾向の改善を予測することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にして,尺度の作成,自殺念慮傾向を有する参加者を対象としてMBCTの実施が達成されたことは大きな成果である。また,MBCTの国際指導資格有資格者のスーパービジョンを受けながらMBCTを実施できたこと,また指導補助者にもMBCTスキルの養成を行うことが出来たことも,研究計画に記載したとおりであり,順調な進行を示すものと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,自殺念慮を現在抱える参加者,また自死遺族等に対象を拡大し,同じプログラムで多様な対象に効果を発揮しうるか否かを検証する必要がある。さらに,効果のメカニズムにもより踏み込む研究が必要である。これまでOGMに焦点をあててきたが,今後は社会的問題解決能力等,うつ病を対象とした研究から示唆される要因の他,新たな可能性も模索していきたい。 また,自殺傾向を抱えやすい対象として,発達障がいが考えられる。発達障がいを有するものも対象にMBCTの効果を検討することで,本プログラムの汎用性が検証できると考えられる。
|
Causes of Carryover |
研究についての合同会議を当初予定していたが,スケジュールの都合等からこの間実施できておらず,遠隔による助言指導にとどまっている。R2年度は最終年度に向けて本格的な介入計画を立案,準備する必要があるため,合同の検討会議を複数回催す必要がある。近年の潮流で遠隔会議も可能だが,介入場所等を実地に確認する必要もあるため,1度は対面式の会議を実施することになる。そのための予算に充てる。
|
Remarks |
MBCTの参加者を募集するために立ち上げたサイト。
|
Research Products
(13 results)