2019 Fiscal Year Research-status Report
社交不安障害患者のための視線を標的としたエクスポージャープログラムの開発
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18K03149
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
百々 尚美 北海道医療大学, 心理科学部, 准教授 (70351707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 竜作 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (00411372)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心理学的介入 / 自律神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究によると、ストレスを誘発する課題に応じて、対処方略(アクティブまたはパッシブ)が異なることが報告されている。本研究の目的は、ローレンツプロット解析を用いて、アクティブな対処方略が必要とされる音読課題中の自律神経反応を調べることでした。本研究には31人の大学生が参加しました(21.03±2.27歳)。我々は1)安静期、(2)黙読期、(3)音読期の3つの段階を設定し、各段階での自律神経系の反応を検討した。また、実験協力者に黙読後と音読後に主観的評価(覚醒度、快不快度、気分)へ回答してもらった。その結果、交感神経反応の指標とされるCSIは、黙読期よりも音読期の方が有意に高かった。対照的に、副交感神経反応の指標とされるCVIは、安静時よりも朗読時の方が有意に高かった。CSIとCVIのいずれにおいても、安静期と黙読期との間に有意差は認められなかった。また、覚醒の程度は、黙読期の後よりも、音読期の後に有意に高かったことも報告されている。これらの研究結果から、黙読期中の心理的負荷は交感神経系の活性化には影響していないが、音読期では交感神経系が活性化していたことが明らかとなった。また、安静期と比較すると、音読期の副交感神経反応は賦活していた。声を出して読むということは、参加者に安静期や黙読期よりも呼吸(すなわち、呼気)を要求することによって副交感神経系を適切に活性化するために必要である。CVIの増加は、呼気中の副交感神経系の活性化に起因すると考えられる。スピーチタスクはアクティブな対処を実行するために参加者を必要としましたが、呼気中に交感神経系と副交感神経系の両方を活性化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、SAD患者の治療にもちいるエクスポージャープログラムの開発を目的としている。すでにエクスポージャーに仮想現実場面は作成しており、その信頼性、妥当性は検証ずみである。2019年度においても協力者である大学生へ社交不安障害傾向の程度をスクリーニングし、実験を行ってきたが、未だ十分な人数を確保するに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
社交不安障害傾向のある大学生を協力者とし、引き続き仮想現実での対人場面における視線停留点を測定し、相手を見ているか否か、見ていない場合はその旨をフィードバックする。また,その間の不安の程度を測定するために、心電図を測定し自律神経機能を解析していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)2019年度では、健常大学生を協力者として、仮想現実での対人場面において、視線停留点のフィードバックを行うことで、社会不安障害特有の回避行動(安全確保行動)を減少させることが可能か、またその際に十分に不安が惹起されているのかを、質問紙を用いた主観的評価と生理反応を測定することによる客観的評価を行う予定であった。しかしながら、社会不安障害傾向のある大学生に十分な人数協力を得ることができなかった。 (使用計画) 当初の研究計画に従い、次年度(2020年度)では、協力者を広く募り、実験協力に同意を得た大学生に対し、仮想現実での対人場面において、視線停留点のフィードバックを行うことで、社会不安障害特有の回避行動(安全確保行動)を減少させることが可能か否かを検討する予定である。
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