2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a managerial coaching programme with outcome measures for middle mangers of small to medium enterprises
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18K03151
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
松田 与理子 桜美林大学, 心理・教育学系, 准教授 (50649184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 利江 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (20222979)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リーダーシップ / ジェンダー・ステレオタイプ / 無意識の偏見 / コーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中小企業中間管理職を社内コーチとして養成するマネジリアル・コーチング教育プログラムおよび評価指標を開発し、プログラムの有効性を検討することと、女性管理職割合の増加が喫緊の課題である日本において、マネジリアル・コーチングが女性のリーダーシップ行使に有効な手法となりうる可能性を探ることである。 研究計画では、マネジリアル・コーチングのスキルおよび行動表出を評価する尺度を開発し、それらを用いてコーチング志向性のジェンダー差を検証することを本年度の目的とした。しかし、ジェンダーとリーダーシップとの関連についてさらに文献を収集・熟読した結果、尺度開発に先駆けて、リーダーシップに対する潜在的ジェンダー・ステレオタイプ、職場風土、心理的両性具有性といった要因について実証的に検討する必要があると判断し、実験と調査を実施した。①勤労者男女39名を対象にWeb形式の潜在的連合テスト(IAT)を実施し、「リーダー=男性」といった潜在的なジェンダーステレオタイプについて、職場風土との関連を含めて検討を行なった。その結果、男性と管理職を潜在的に強く連合する伝統的なステレオタイプ、つまり無意識の偏見が存在すること、女性は男性よりも自らのジェンダーをサポート役と強く結びつけていること、男性優遇の職場風土では伝統的なステレオタイプが強化される可能性が示唆された。②勤労者男女464名を対象としたWeb調査を実施した。ジェンダー・ステレオタイプの根幹は、男性=作動性、女性=共同性で表現されるが、個人の個性や違いを尊重するダイバーシティ&インクルージョン風土は、共同性と作動性を併せ持つ「心理的両性具有性」を高めることが示唆された。これらの結果から、プログラムを開発するうえで、女性の自己ステレオタイプ化の解消、心理的両性具有性を促進する組織風土の醸成も視野に入れて検討する必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画では、本年度に国際比較を視野に入れた海外尺度を2つ開発し、それらを用いてコーチング志向性のジェンダー差を検証する予定であったが、文献調査の結果を受けて、尺度開発に先駆けてジェンターとリーダーシップとの関連に関する実証的な検討を行なった。プログラム開発という観点では有用な情報が得られたが、尺度開発にはまだ着手していないことから、遅れが生じていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度に実施した実験結果について論文を投稿し、勤労女性を対象としたセミナーにおいて基調講演を行う。同時に、Web調査を4回実施し、2018年度に実行できなかったマネジリアル・コーチングの有効性を測定する以下2つの尺度を開発し、信頼性・妥当性を検証する。 ①The Coaching Behaviors Inventory、②Goal-Focused Coaching Skills Questionnaire さらに、開発した尺度を用いてコーチング志向性のジェンダー差を検証・分析し、2018年度の研究結果も踏まえながら、海外研究協力者、研究分担者とともに介入プログラム案の検討を行う。プログラムの試行は2020年の前半に実施する見込みである。
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Causes of Carryover |
2つの尺度を開発し、信頼性・妥当性を検証する目的で実施する予定であったWeb調査X4回を実施しなかったことから、その際に必要となるWeb調査会社への支払い、およびデータ分析補助者への支払いがなかった。これらの費用はすべて2年次に繰り越した。2018年度に実施したWeb実験は研究代表者がすでに保有しているソフトウェアを用いて実施し、Web調査においては、科研費以外の研究に関する調査も含まれていたため、科研費ではなく研究代表者の大学研究費から捻出したため費用が発生しなかった。 2019年度は、Web調査x4回とデータ分析補助者への支払いに加えて、コーチング関連の書籍およびデータ分析用のパソコンとソフトの購入、International Congress of Coaching Psychology(London)での発表、介入ブログラム案の検討を目的とする海外研究協力者(オーストラリア)訪問を予定しているため、これらにかかる費用が見込まれる。
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