2018 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症患者における図形対称性の選好と認知機能に関する研究
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18K03152
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岩滿 優美 北里大学, 医療系研究科, 教授 (00303769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 和久 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10212028)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症患者 / 選好 / 描画 / 精神症状 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症患と健常者を対象に、7種類の刺激図形を無作為に1枚ずつ提示し、その図形が最もきれいであると思われる図形内の任意の位置に1本の垂直線と水平線を描くように教示する課題を実施した。最終的に45名の統合失調症患者と,年齢をマッチングさせた58名の健常者のデータをもとに、データ分析を行った。その結果、統合失調症患者が対称に図形を分割した頻度の平均は、垂直方向では55.2%、水平方向では42.5%であり、健常者が対称に図形を分割した頻度の平均は、垂直方向では25.9%、水平方向では20.0%であり、統合失調症患者が対称に分割する頻度は健常者と比較して有意に高かった(p<.05)。図形ごとに対称性に分割した頻度について、群(統合失調症患者・健常者)×比率(対称性・非対称性)のカイ二乗検定を行った。その結果、垂直方向では7図形すべてにおいて統合失調症患者は健常者と比べて対称に分割する頻度が有意に高く(p<.05)、水平方向では6図形において、統合失調症患者は健常者と比べて対称に分割する頻度が有意に高かった(p<.05)。 次に、7名の統合失調症患者と40名の健常者を対象に、上記の課題をコンピュータで実施し、課題中にアイカメラを用いて眼球運動を記録した。注視時間、注視回数、注視間の視線移動距離についてデータ分析を行った結果、統合失調症患者は健常者と比較して、注視時間が有意に長く(p<.01)、注視回数が有意に多く(p<.05)、注視間の視線移動距離が有意に短かった(p<.01)。すなわち、統合失調症患者は健常者と比べて、課題時に視線を動かすことが少なく、その範囲も狭く、一点あるいは少ない点をより注視していたと考えらえる。 最後に、統合失調症患者のバウムテストの特徴について健常者と比較し、さらに統合失調症患者の症状とバウムテストとの関係についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症患者と健常者を対象にした選好行動(描画)に関するデータ収集は終了し、データ分析もおおよそ行った。また統合失調症患者の認知機能を評価する手法としてアイカメラを用いた研究についても、7名のデータ収集を行い、健常者と比較した分析も実施し、おおむね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、統合失調症患者と健常者を対象にした選好行動(描画)に関する研究については論文にまとめて発表していく。アイカメラを用いた研究をさらに追加で実施し、データを継続して収集し、アイカメラで測定された様々な指標に対するデータ分析を行い、学会発表および論文にまとめていく。 そして次の研究課題を実施する準備を行っていく。
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Causes of Carryover |
2円の残高となったが、きわめて少額のため、2019年度にあわせて使用する
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