2018 Fiscal Year Research-status Report
クラス集団を活用した児童生徒の個に応じた認知行動療法的ストレスマネジメントの確立
Project/Area Number |
18K03156
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋田 洋徳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70284130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレスマネジメント / 認知行動療法 / 児童生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ストレスマネジメントプログラムを学校のクラス集団をベースとして実施するにあたり、個に応じたプログラムを実践する際の環境要因としての「クラス集団」を最大限に活用する方法論を構築、体系化することを目的としている。平成30年度は、その一環として、公立小中学校に在籍する教員の児童生徒に対する機能的アセスメントの能力向上を目的とした教員研修を実施し、その児童生徒の個人差変数のアセスメント結果に基づいて、認知行動療法的観点に基づくストレスマネジメントプログラムの実践を行った。その際に、社会的スキルの獲得の程度やセルフエフィカシーの知覚の程度に関する個人差変数をアセスメントの軸とした。小学生96名、中学生179名を対象として、行動コンサルテーションの手続きを用いて機能的アセスメントに基づくプログラムを実施するクラス群と、通常の学校コンサルテーションのアセスメントに基づくプログラムを実施するクラス群に振り分けた。その結果、小学生においては、機能的アセスメントに基づくクラス群の方が学校適応感が高くなったことが示された。また、中学生においては、社会的スキル獲得の程度が低い中学生を対象とした場合には、機能的アセスメントに基づくクラス群の方が学校適応感が維持されていたことが示された。さらに、行動観察のデータからは、小中学生ともに、機能的アセスメントに基づくクラス群の方が、生活場面の行動における環境との良好な相互作用の活性化を促しやすくなる傾向があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、当初計画していた通り、教員研修プログラムを作成し、ストレスマネジメントプログラムの実践介入を公立小中学校において実施してデータ収集を行った。しかしながら、研究協力校の都合でデータ収集が困難になったことが生じてしまったため、計画全体を踏まえると若干の遅延が生じていると言わざるを得ない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に実施したストレスマネジメント実践介入のデータに基づいて、研究成果の発表を行うこととする。また、これまでに収集したデータに基づきながら、適切な児童生徒の個人差変数を検討、設定し、それらを考慮したストレスマネジメントプログラムとして体系化を行うことを試みることとする。
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Causes of Carryover |
ストレスマネジメント介入に基づくデータ収集が当初の計画通りに進まなかったため、次年度使用額が生じてしまった。次年度の使用計画として、平成30年度実施予定であった分も含めて、公立小中学校におけるストレスマネジメントプログラム介入の実践に伴う国内旅費、プログラム実践や収集したデータ入力の際の研究補助者への謝金、研究成果等の発表に伴う国内外旅費、調査用紙の印刷費、各種消耗品等に使用する予定である。
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