2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishing cognitive-behavioral-therapy-based stress management according to individual characteristics of school-going children in a school setting
Project/Area Number |
18K03156
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋田 洋徳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70284130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレスマネジメント / 認知行動療法 / 児童生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ストレスマネジメントプログラムを学校のクラス集団をベースとして実施するにあたり、児童生徒の認知行動的な個人差に応じたプログラムを実践する際の環境要因としての「クラス集団」を最大限に活用する方法論を構築、体系化することを目的としている。令和2年度は、その一環として、先行研究において理論的に示唆されている児童生徒の他者視点取得の程度をストレスマネジメントプログラムの効果を左右する要因として設定し、プログラム実践の効果を実証的に検討することを目的とした。公立中学校に在籍する計18クラスの生徒639名(1~3年生男子316名、女子317名、その他6名)を対象として、ストレスに関する心理教育やコーピングの案出、リラクセーションを行う標準群と、標準群に他者取得の手続きを加えた介入群の2群に振り分けて介入を実施した。他者視点取得の程度が平均から0.5SD以下の生徒に関するデータを分析した結果、介入前と比較して、介入後、およびフォローアップにかけての他者視点取得得点の変化量とコーピングレパートリー得点の変化量が有意な正の相関を示した。次に、公立小学校に在籍する3~4年生の児童75名(男子38名、女子37名)を対象として、ストレスマネジメント教育において多く用いられる具体的場面を提示し、他者視点取得の程度との関連性に関する記述的検討を行った。その結果、他者の心理状態を推測する際には「表情認知」が占める割合が高いことが示された。これらの結果から、他者視点取得の程度が低い児童生徒に対しては、それを改善するようなコンテンツ、特に表情認知の改善を促すコンテンツを加えることによって、ストレスマネジメントプログラムの効果が向上することが示唆された。
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