2018 Fiscal Year Research-status Report
多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害の査定と支援
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18K03159
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多文化 / 多言語 / 乳幼児 / 発達 / 日系ブラジル人 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年日本に在住する多文化・多言語環境で生活する子どもや、文化・言語間移動を乳幼児期から経験し、日本語を母語としない子どもが増加している。文化間移動や異文化接触に伴う異文化適応や言語獲得の程度は、移動や接触の発達段階によって異なる。特に乳幼児期の文化間移動や多文化・多言語環境は、乳幼児期だけではなく、その後の認知・言語発達にも大きな影響を与える。外国籍の児童・生徒の特別支援学校在籍者数も増加している。また本来発達の遅れがないにもかかわらず、不正確な査定によって発達の遅れがあると誤認される場合もある。 以上の状況を踏まえ、今年度は初年度でもあり、多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害の状況をフィールドワーク等によってデータ収集を行った。研究代表者である塘は、関西・東海地域の外国籍在住率の異なる3つの地域の就学前保育機関において、日本語を母語としない乳幼児や保護者を受け入れる際に「困っていること」、「受け入れの経緯」「今後の対応」などについての非構造化面接を行い、多文化・多言語環境で育つ子どもの発達に関与する要因を分析した。また専門家を招いての研究会を数度行った。 研究分担者である権藤は、東海地域のA保育所にて、日系ブラジル人の子どもの言語状況について保育室でのフィールドワークを行った。また多くの日系ブラジル人の児童・生徒を受け入れている地域の子どもの学習状況について授業の観察を行ったり教員の話を聞いたりしてデータを収集した。研究分担者である松井は、東京B市の多文化多言語状況にあるC幼稚園で、外国にルーツをもつ子どもの言語発達についての情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度からフィールドワークのみならず、乳幼児の言語発達検査や保護者・保育者への面接調査をより行いたかったが、各地区の外国にルーツをもつ子どもの多様性から、まずは丁寧な状況把握をすることが先決であるとの判断に基づき、今年度は情報収集に終始した。したがって当初の計画よりやや進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で関東・関西・東海地区の多言語・多文化で育つ子どもの状況や発達障害の様子が把握できたため、今年度は、日本国内の多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害についての状況をさらに分析し調査する。同時に、研究代表者である塘が在外研究中であるため、それを活かして、主として海外に在住する多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害についての状況を把握する。イギリス、台湾、ベルギー、イタリアなどの日本人学校及び日本人補習校を訪問し、日本国内の子どもたちの状況と比較分析をする。 また共同研究者である権藤は、引き続き関西地域の就学前施設で調査を行い、松井はイギリスの日本人補習校で特に言語能力の調査を行う。
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Causes of Carryover |
初年度であったため実際の発達検査や本格的な面接調査は行わずに、フィールドワークでの調査、研究会の開催、予備調査の結果報告のための学会報告等が主であったことで、次年度使用額が生じた。 また松井は所属機関の近隣の就学前施設での調査であったため旅費等が発生しなかった。
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Research Products
(3 results)