2019 Fiscal Year Research-status Report
多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害の査定と支援
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18K03159
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多文化 / 多言語 / 乳幼児 / 児童 / 発達 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者である塘は1年間のドイツでの在外研究を活かして、欧州において複数言語を使用している子どもたちの言語実態と認知発達についてのフィールドワークを行った。特に小学校低学年の子どもたちにおいて、欧州で現地の言語を主として使用している就学前施設に通っていた子どもたちが、日本人学校に進学すると日本語を通しての学習理解が難しいだけではなく、現地の就学前施設で使用していた言語の獲得も中途半端であるために、一見すると発達障害(神経発達症群)や知的能力障害とみなされてしまう姿が見られた。このような状況の子どもたちの発達に対する教師の見極めと支援についての情報を収集するとともに、支援のあり方について現場教員と議論しながら検討した。またイギリス・ロンドンのナーサリースクールを訪問し、多文化・多言語環境で育つ子どもの発達支援についての情報を収集した。イギリスの法律を遵守しながら、絵本、行事、製作を通して多文化環境を用意し、さらに製作に必要な材料においても多様なものを準備していた。言語に関しては、英語を基本としながらも母語を育てる工夫や、欧州の中ではマイノリティー言語である日本語の漢字をも提示するなど、言語における多様性を視覚的に認識できるような工夫をしていた。 研究分担者においては、東海地域の在日ブラジル人集住地区にある企業内保育園においてフィールドワークを行い、ポルトガル語と日本語の二言語環境で育っている幼児20名の言語発達状況について検討した。保育所内の言語環境の観察、保育者への聞き取り調査を行い、日常の言語入力の状況について把握したうえで、標準化された語彙理解・表出検査をポルトガル語と日本語の二言語で試行した。その結果を参考値として対象幼児の言語発達を把握する方法を検討した。結果は現在分析中だが、途中経過について学会での発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者である塘が在外研究中であったことから、日本国内での調査に遅れが生じている。またコロナウイルスの影響で保育現場・教育現場での調査や検査が制限されたため、研究を思うように遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
外国にルーツがある子どもたちとその保護者に対するフィールドワークや検査が主となるため、今後コロナウイルスの状況によって研究の推進方策や時期は変わらざるをえない。しかしコロナウイルスが終息し次第、東海地方や関西地方における多文化・多言語環境で育つ保育施設を訪問し、初年度に行った情報収集をもとに、保育者や保護者への面接調査や子どもたちの行動観察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの関係で2020年3月の学会発表が中止されたり、予定していた台湾の多文化・多言語環境にある保育施設への訪問が中止になったり、日本国内保育所への立ち入りが制限されたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)