2020 Fiscal Year Research-status Report
多文化・多言語環境で育つ子どもの発達障害の査定と支援
Project/Area Number |
18K03159
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 多文化 / 多言語 / 乳幼児 / 児童 / 発達 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者である塘は、東海地方や関西地方の就学前施設において、多文化・多言語環境で育つ子どものフィールドワークを行おうと計画をしていたが、新型コロナウイルスの関係でフィールド内での調査や検査がまったくできなくなった。そこで、子どもとあまり接触しない形で、保育者や園・所長との相談についてその回数を減らしながらも継続的に行ないつつ、就学前施設において日系ブラジル幼児を多く受け入れる3~5歳児を担当する保育者の困り感について質的に分析を行った。 その結果、第1に、日本語を母語とする幼児とは言語理解の程度が異なりコミュニケーションが難しいという点や、当該年齢までに当然獲得しているはずの日本語が未習得であることへの保育者の戸惑いといった「幼児の日本語理解の見極めの難しさ」の困り感が検出された。第2に、他の日系ブラジル人幼児の行動とも比較したうえで、他児とは異なる幼児の行動の違いの文化性をどこまで許容してよいかが分からないといった「幼児の行動における文化性の許容の難しさ」が検出された。第3に、発達の遅れの見極めは日本語を母語とする幼児に対しては言語理解や表出が一つの大きな目安になるが、日本語を母語としない幼児にはその目安がまったく使えないことに対する戸惑いといった「幼児の発達の遅れに対する見極めの難しさ」が検出された。第4に、保護者が日本語を理解できず、保育者もポルトガル語を理解できないため、「保護者とのコミュニケーション方法の難しさ」が検出された。第5に、保護者との養育観共有の難しさがあげられた。今後は乳児期をも含めて保育者の困り感について分析する予定である。 研究分担者においても、新型コロナウイルスの関係で東海地方や東京の就学前施設での調査・検査がまったくできなくなった。今後、新型コロナウイルスが収束し次第、調査・検査を再開する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの影響で保育現場・教育現場への地域を越えての調査ができず、また同じ地域内においても多くの接触を保育現場から許されなかった。したがって実際のフィールド内での調査や検査ができなかったため、研究に大幅な遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
外国にルーツのある子どもたちとその保護者に対するフィールドでの調査や検査が本研究の主となるため、今後のコロナウイルスの状況によって研究の推進方策や時期は変更せざるをえない。しかしコロナウイルス収束後、もしくは研究者のワクチン接種後には、東海地方をはじめとして、研究者の居住圏内における多文化・多言語環境で育つ子どもの多い保育施設を訪問する予定である。そして初年度に行った情報収集をもとに、保育者や保護者への面接調査や子どもたちの行動観察を行う予定である。 また保育者面談についてはオンラインの可能性も探っているが、保育者がオンライン形式の相談に不慣れであったり、個人情報の関係から困難な状況である。但し引き続き教育委員会や行政とも調整しながらオンラインの可能性も模索したい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの関係で、東海地方の保育施設での調査や検査ができなくなったり、学会開催がすべてオンライン開催となったりしたため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)