2019 Fiscal Year Research-status Report
メンタライズ機能に注目したアレキシサイミアの臨床介入ツール開発
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18K03161
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (00388216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 雄一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80161214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレキシサイミア / 感情のメンタライゼーション / 養育態度 / 愛着 / PBI |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究予定としては、両親と子どもの3者セットデータにより感情のメンタライゼーション、アレキシサイミア傾向、養育態度や愛着との関係を明らかにすることであった。しかしながら、予定していた委託依頼業者のコンプライアンス設定の変更により、回収が即座に困難となったため、予定調査の基礎となる予備的データを集中した。 研究では、父親と母親の養育態度認知についてPBIを使用し、前年度に因子分析で明らかになった因子構造の内的整合性を確認するとともに、子どもの懐古的な養育態度認知が感情のメンタライゼーションとどのような関係にあるかを検討することを目的とした。大学生306名を対象に(男性158名,女性148名、Mean=19.68歳)、Jurist(2008)が作成したMentalaized Affectivity Scale(MAS)の改定邦訳版38項目、一般他者を想定した愛着スタイル尺度(中尾他,2004)、親の養育態度認知としてParental Bonding Instrument日本語版(PBI)に回答させた。MASについては「感情の理解」「感情の調整」「感情の表出不全」の3因子が抽出され、本邦における先行研究と同様の因子構造であった。なおα係数は.71~.89)であり内的整合性は確認された。相関分析を行ったところ、父親の受容と母親受容は感情の調節と正の有意な相関が認められ、母親過保護は感情の理解と感情の調節と弱い有意な正の相関が認められた。一方、愛着スタイルの見捨てられ不安は感情の理解、感情の調節と有意な相関、親密性の回避は感情の調整と感情の表出不全と有意な相関が認められた。両親の養育態度認知が愛着スタイルを媒介してMASに影響するモデルについて共分散構造分析を行った結果、愛着スタイルと媒介して父親と母親の過保護が見捨てられ不安を経由しMASに影響することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度は本来であれば愛着、アレキシサイミア、感情のメンタライゼーションのデータについて両親、子どもの3者セットデータを回収する予定であった。しかしながら、当初予定していた調査委託会社のコンプライアンス規定の変更により、この形式でのデータ回収が困難となり、その対応策を検討していたところでコロナウイルスの問題が発生した。コロナウイルス感染による生活スタイルの変更は調査結果に大きな影響を及ぼす可能性があるため、3者セットデータの回収については最終年度に持ち越すこととした。そのため、次年度の調査計画の妥当性を予備的に検討するために、子どもの養育態度認知と感情のメンタライゼーション、愛着との関係を検討した。そのため研究の進捗状況はかなり遅れることとなっているが、本調査の結果をもとに次年度以降の研究計画が妥当であることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度実施ができなかった3者セットデータの回収が実行できるよう調査委託会社とそれ以外も含めて現在予定している。具体的には委託会社のみならず、Web調査形式も想定し検討している。そのことで本年度の遅れは回復可能だと思われる。また、昨年度実施の代替的調査の結果をもとに、使用尺度を一部修正、変更を行う予定である。コロナウイルス感染拡大の影響を極力避けるために、調査の実施は11月から12月を予定している。なお、本来であれば次年度課題は今回の結果をもとに介入プログラムの基礎的データを明らかにすることを予定していたが、コロナウイルス感染拡大により対面でのワークが当面不可能であるため、当該研究の最終目的は1年ほど遅れることが予想される。
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Causes of Carryover |
委託予定業者のコンプライアンス規定の改定およびコロナウイルス感染拡大の影響により、3者セットデータの回収は延期せざるをえなくなった。そのため、3者セットデータの回収のために必要と予定していたそれ相応の予定金額が次年度へ持ち越しとなった。なお、実施形態は変更する可能性があるが、3者セットデータを回収するための謝金や委託費として予定通り使用する計画となっている。
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