2021 Fiscal Year Research-status Report
メンタライズ機能に注目したアレキシサイミアの臨床介入ツール開発
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18K03161
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
馬場 天信 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (00388216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 雄一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 特命教授 (80161214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情 / アレキシサイミア / メンタライズ / メンタライゼーション / 母子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては、コロナ禍の影響もあり回答が歪む影響も考慮して新たなデータ収集は行わなかった。しかしながら、前年度に収集した感情のメンタライズ尺度について、新たに分析をしなおし、その経過の一部を日本パーソナリティ心理学会にて発表を行った。 本研究では、最終的に感情のメンタライズ尺度の標準化を行い、その尺度と親子関係における感情コミュニケーションの発達プロセスがアレキシサイミア傾向の助長にどのように影響するかを明らかにすること、そして、その具体的介入技法の立案を行うことを最終目的としている。 その基本となる感情のメンタライズ尺度については、日本パーソナリティ心理学会にて発表した際には、3因子構造とし、「感情の理解」「感情の調整」「感情の表出」の因子構造としていた。なお、自尊感情、アレキシサイミア、感情調整方略といった妥当性尺度との相関は十分なものであり、3ヵ月半後の各因子の相関係数は、感情の理解が.76、感情の調節が.78、感情の表出が.65と有意であった。 しかしながら、その後に海外での標準化の最新論文の結果も参考に分析をしなおし、現状では4因子構造「自伝的記憶・感情焦点化」「感情調整」「感情表出」「感情情報処理」「感情同定」でまとめあげる予定である。現在、共分散構造分析を用いて確認的因子分析等を試みている段階であるが、4因子構造の場合でも海外での因子構造と多少の違いが明らかになっており、これらは感情の処理に関する文化差の影響も考えられている。 今後の研究については、この尺度の論文投稿を済ませると同時に、学童期頃までの母親の省察機能や関りが、大学生の感情のメンタライズにどのような影響を及ぼすのかを明らかにすると同時に、アレキシサイミア傾向の助長を予防するかどうかを調査によって明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画が遅れている主な理由は、コロナ禍により社会生活環境が大きく変化した中で歪んだ調査データ収集となることを避けるためであった。また、対面での環境が大きく制限されており、最終目標としていた対人関係療法的なメンタライズ促進プログラムの試案と実験の実行にはかなり困難が生じるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目標としていたアレキシサイミア傾向を修正する、対人関係療法的な短期の感情のメンタライズ促進アプローチの試みについては、対面実施環境の制限と対面でもマスク着用により通常の感情的コミュニケーションが困難であるという点から断念することとした。そのかわり、感情のメンタライズの4つの側面に対して、母親の省察機能がどのように影響するのかを明らかにし、更に、子供のアレキシサイミア傾向にそれらがどのような影響を与えるのかを調査データで詳細に明らかにすることを最終目的として一部修正することとした。それに伴い、調査収集データの内容を当初予定していたものから一部変更することが生じると思われる。
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Causes of Carryover |
次年度は、コロナ禍による研究中断を部分的に再開することとし、結果的に中断で使用していなかったWeb調査を実施するため。
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Research Products
(1 results)