2019 Fiscal Year Research-status Report
人間関係力を育む保育者養成教育のあり方に関する実践的研究
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18K03163
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Research Institution | Niimi College |
Principal Investigator |
加藤 由美 新見公立大学, 健康科学部, 講師(移行) (70509629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住本 克彦 新見公立短期大学, その他部局等, 教授(移行) (10461972)
安藤 美華代 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60436673)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 保育者養成教育 / 人間関係力 / 心理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育者養成大学において学生が保育現場の実情を知り,職務上の人間関係のあり方について考えたり,保育者としての心構えを身につけたりできるようにするため,保育者養成に特化した人間関係力の育成を目指した心理教育プログラム“サクセスフル・セルフ保育者養成版”(全14レッスン)を新たに作成,実施し,その内容や実施方法が適切であるかどうかを検討した。今年度は作成したプログラムの前半6レッスンを,四年制の保育者養成課程1年次前期「保育者論」(教職に関する科目)において47名を対象として実施した。レッスン終了後,学生にレッスン内容に対する理解度,分かりやすさ,生活への役立ち感等について5件法で尋ねたところ「そう思う」「ややそう思う」との回答が約8割であったことから,本プログラムは学生にとって分かりやすく役立つ内容になっていることが示唆され,プログラムのねらいに沿ったレッスン評価がなされたと考えられた。また,学生の記述内容から,レッスン内容は学生の自己理解や他者理解につながり,人との関わり方について考える機会となったことが窺えた。プログラム実施前後に心理社会的要因に変化があるかどうかを比較検討するために行った質問紙調査の結果,プログラム実施後には「対応のスキル」「自己コントロールに関する自己効力感」等の数値が有意に高くなったものの半年後には減少したことから,その効果は持続的でないことが明らかとなった。そのため,プログラム実施後には十分なフォローアップを行う必要があると考えられた。具体的に学生に対してどのような支援,働きかけを行う必要があるかについては今後検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた心理教育プログラムの作成,実施および評価を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの取り組みを踏まえながら,今年度以降も1年次の授業で前半のプログラム(フォローアップも含む)を実施していく予定である。後半のプログラムは,4年次後期の授業「教職・保育実践演習」(教育実践に関する科目)で実施予定である。その中では,保育現場での困難場面を想定し,より実践的なレッスンを行うことで,現場で求められる課題解決力や実践力を養っていく。例えば,保育の困難場面での問題解決技法や,保育現場での先輩・上司との対話における困った出来事と対処についてロールプレイを実践したり,保育現場で起こり得るジレンマを解決したりするレッスンを行っていく予定である。また先行研究の概観が未だ不十分であるため,国内外の実践的研究に着目しながら人間関係力育成に関する効果的な取り組みについて明らかにしていくとともに,保育者養成校の取り組みへの示唆を得るために,現場の保育者(園長等)へのインタビュー等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
旅費、人件費等の使用計画に変更が生じたため。今後、図書費、消耗品費、人件費(データ入力のため)等に使用する予定である。
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