2019 Fiscal Year Research-status Report
眼球運動長時間計測のための眼電図波形解析手法の研究
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18K03179
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
十河 宏行 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90359795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | electrooculography / eye movement / blink |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、頭部運動を制限した状態で眼鏡型眼電図測定装置とビデオ式眼球運動測定装置による同時計測実験を行った。実験参加者はパーソナルコンピュータに接続した液晶ディスプレイの前に着席し、ヘッドレストで頭部位置を安定させた状態で、液晶ディスプレイ上に提示された視標を追って固視とサッカードを行う課題と、ビープ音に合わせて瞬目を行う課題を行った。これらの課題を遂行中の眼電図を測定し、ビデオ式眼球運動測定装置のデータに基づいて固視中、サッカード実行開始後、瞬目実行開始後の500ミリ秒間の水平、垂直成分の眼電図波形を標本として切り出した。これらの眼電図波形に対して独立成分分析を行い、さらに独立成分に基づいて固視、サッカード、瞬目を判別する決定木の学習を行った。判別成績を評価するために、独立成分の次元と決定木の深さを系統的に変化させながら交差検証を行った結果、独立成分の次元は2次元の時に参加者間の分散が大きくなるものの、2次元から8次元の範囲で平均判別成績に大きく影響しないことが示された。決定木の深さは全参加者の平均では2から9に増加するにつれて判別成績はゆるやかに向上し、それ以上では増加するにつれて低下した。また、平均正判別率は参加者により約0.5から0.8までの幅があり、眼電図波形のノイズレベルが高い参加者ほど判別成績が低かった。ノイズレベルの視標として固視中の眼電図波形の速度ベクトルの絶対値の中央値を計算して平均正判別率との相関係数を計算したところ、強い負の相関があることが示された。以上の結果より、高い判別成績を実現するには眼電図ノイズの抑制が不可欠と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標としていた眼鏡型眼電図測定装置とビデオ式眼球運動測定装置による同時計測実験の実施およびデータ解析を終えることが出来たので、おおむね順調に進展していると言える。ただし、本研究の次の目標である頭部運動を制限しない状況における計測については、ヘッドマウント型ビデオ式眼球運動測定装置の頭部装着ユニットと眼鏡型眼電図測定装置の同時装着の問題が未だに解消できておらず、この点においては計画は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘッドマウント型ビデオ式眼球運動測定装置の頭部装着ユニットと眼鏡型眼電図測定装置の同時装着に関する技術的な問題の解消に取り組む必要がある。頭部装着ユニットの形状改良に引き続き取り組むとともに、テーブル上に固定したカメラ映像より実験参加者の頭部運動および眼球運動を計測するという解決法を模索しており、現在そのためのプログラムを作成中である。また、新型コロナウイルス対策のため、人を対象とした実験が実施できなくなる可能性があるため、昨年度計測したデータで判別成績を向上させるアルゴリズムの検討に取り組むことも検討している。
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Causes of Carryover |
本年度は本研究課題に関する学会発表を行わなかったため、旅費の出費がなかった。次年度は学会発表を行う予定である。
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