2020 Fiscal Year Research-status Report
本心ではない言葉を発する話者の感情認知の検討とプロセスモデルの構築
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18K03184
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
重野 純 青山学院大学, 教育人間科学部, 客員教授 (20162589)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言葉の意味の感情 / 本心 / 音声の感情 / 日本人のコミュニケーション行動 / プロセスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「言葉の感情」(言葉の意味が本来もっている感情)と「音声の感情」(音 声の感情に表れる本心)に対する認知から、話者の言動を「全体」としてとらえる「感情認知のプロセスモデル」を構築することである。 2020年度は研究3年目(最終年度)であり、当初の予定では前年度(2019年度)に取り切れなかったデータの追加収集を行い(「言葉の感情」と「音声の感情」が一致・不一致の場合についての認知実験)、モデルの検証を行い、モデルを完成することを予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大による非常事態宣言の発出等のため、被験者に予定していた日本語非母語者(主に外国人留学生)に実験への参加を求めることができず、追加実験を行うことができなかった。そのため主にこれまで収集したデータをもとに研究のまとめとなる新しい論文の執筆に着手した。また、2020年7月に成果発表を予定していた国際学会(ICP2020) が1年延期となり、他の学会も中止または延期となったため、研究成果の発表もできなかった。 このような状況下であったが、論文執筆を進める傍ら、日本人の感情認知についての著書を完成させ10月に「本心は顔より声に出る」(新曜社)を出版した。 以上、コロナ禍による社会状況により研究を推進することが非常に困難であったため予定していた研究を行うことができなかったが、2020年度の研究実績としては、①これまでのデータの見直しと再検討、②新しい論文の執筆に着手、③著書の刊行、の3点が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
必要な追加データの収集ができなかったことと、国際学会の延期により研究成果発表が1年後になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行えなかった追加データを収集する。これまでの研究から得られたすべてのデータに基づいて、日本および欧米の表示規則(感情を表す際の文化的規範)が、「言葉の感情」と「音声の感情」の統合にどのようにかかわるのかを検討して、これまでの研究を完成する。 研究成果を国際学会(ICP2020+)において発表する。ICP2020+は、2020年7月に開催される予定だったICP2020が、COVID-19の流行により2021年7月に延期された国際学会である。 また、これまでのデータをもとにした論文の執筆をさらに進める。具体的には、日本人の感情認知のメカニズムについて本研究で得られたデータをもとにした「感情認知のプロセスモデル」を完成して論文にまとめ投稿する。
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Causes of Carryover |
実験被験者として予定していた日本語非母語者(主に外国人留学生)が集められなかったため、実験を行うことができず、謝金を使用しなかった。さらに、実験を行うための消耗品等の支出がなく物品費の支出が予定を下回った。また、成果発表を予定していた2020年7月の国際学会(ICP2020)が1年延期となったため旅費の支出がなかった。 これらの研究活動はすべて次年度に先送りされ、それとともに費用もすべて次年度に使用することとなった。 次年度は、追加データ収集のための実験に係る費用(消耗品の購入、謝金など)、国際学会での成果発表のための費用(旅費やプレゼンテーション資料の作成にかかる費用)等に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)