2019 Fiscal Year Research-status Report
「順応から学習へ」:脳損傷患者を対象にした運動学習メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K03188
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福澤 一吉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00156762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板口 典弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 訪問研究員 (50706637)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 運動学習 / 視覚運動順応 / 認知神経心理学 / 脳損傷患者 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,内部モデルの獲得過程における「順応と学習の境界」について明らかにすることである。本研究では,健常若年者および健常高齢者に加え,小脳損傷患者・頭頂葉損傷患者・パーキンソン病患者を研究対象とする。具体的には,視覚運動順応課題における“アフターエフェクト”がモデルの切り替え能力を反映するという仮説,および,小脳が「モデルの獲得と蓄積」,基底核と頭頂葉が「モデルの切り替え」を担うという仮説を検証する。当該年度は,研究計画の2年目にあたる。当該年度も,健常若年者および健常高齢者を対象に。初年度に確立された実験プログラムおよび解析手法に基づく行動実験を引き続き実施した。実験の結果,新規内部モデルの獲得を示唆するとされる行動指標アフターエフェクトは,学習の進行に伴い経時的に減少することが明らかになった。当該年度には,関連論文が国際学術雑誌に掲載された他,年度中に行った実験から得られた知見について国際学会での研究成果発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において,本研究課題は当初計画されていた通り健常若年者および高齢者を対象とした行動実験を順調に実施した。また,研究成果発表も滞りなく行われた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では,本研究課題の最終年度である2020年度に,脳損傷患者,パーキンソン病患者を対象とする行動実験を臨床現場にて実施する予定であった。しかしながら現在,新型コロナ感染症の流行に伴い,医療現場での実験実施は困難な状況にある。そのため,今後の研究の展開としては,引き続き健常若年者および健常高齢者を対象とする実験を継続することに加え,状態空間モデリングの手法を用いてアフターエフェクトの時系列変化を含む行動データを説明する運動学習モデルの構築を目指す。
|
Causes of Carryover |
該当予算には,次年度に実施する実験の参加者に対する謝礼,および計画最終年度にあたっての成果発表のための,論文校正サービス使用料・旅費・学会発表費用等を含む。
|