2018 Fiscal Year Research-status Report
統計学習に基づく時間認知と個人の時間管理行動との関連性及びその神経基盤の解明
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18K03189
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大塚 幸生 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (90599987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 視覚統計学習 / 意識 / 無意識 / 物体認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日常場面で遭遇する統計的規則性(例えば,時系列順序情報)の学習という観点から,人の時間認知の過程を明らかにすることを目的とする。これまでの統計学習の研究より,人はオブジェクト刺激の特徴情報や意味情報に基づいて統計的規則性を学習できることが示されている。しかしながら,オブジェクトが有する時間情報に基づいて規則性を学習することができるか否かについては明らかではない。本年度は,人が時間情報の規則性を学習できるかどうかを検討した。 実験では,無意味なオブジェクトがランダムな順序で呈示されるが,3つのオブジェクトの呈示時間が常に一定になるトリプレット刺激列を作成した。学習フェイズでは,実験参加者はこの刺激列を観察した。後のテストフェイズでは,学習フェイズで観察した呈示時間の順序情報を持つトリプレット,学習フェイズでは順序としては観察しなかったフォイルが呈示された。参加者は,学習フェイズを参考に強制選択によるfamiliarity判断課題を行った。Familiarity判断課題では,学習時と同一の順序で呈示されるトリプレット刺激列,学習時には順序としては呈示されなかったフォイル刺激列が対呈示された。参加者は,どちらの刺激列の方が見覚えがあるかを判断した。 実験の結果,時間情報の規則性を持たないフォイルよりも規則性を持つトリプレットを選択する割合が高いことが示された。この結果から,人は時間情報の規則性を学習するメカニズムを有することが示唆された。本年度は,日本基礎心理学会第37回大会,およびPsychonomic Society's 59th Annual Meetingにおいて研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり時間情報に基づく統計的規則性の学習に関する実験を完了したため,研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1年目までに得られた行動実験の結果を基に,時間情報に基づく規則性の学習と個人の時間管理行動との関連性を検討する。
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Causes of Carryover |
校務により,当初参加予定であった国内学会および国際学会に参加しなかったために,次年度使用額が生じた。次年度は,学会参加の旅費およびMRI実験に使用するPCを購入するために使用する。
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