2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on nausea and clay eating in rats
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18K03192
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 定彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (40299045)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 味覚嫌悪学習 / 異食 / 連合学習 / 走行 / パイカ行動 / 条件づけ / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
実験研究として以下の4つの成果があった。 (1) 2016年に発表した、ラットは泳ぐと異食行動を示す(カオリン粘土を食べる)という報告の発展的追試を行い、論文発表した。前報では水泳時間は40分間(1回)でラットは他の実験に参加した個体であったが、実験歴のない個体でも異食行動を示すこと、異食行動を生む水泳時間は20分でもよいが10分では不十分であること、濡れるだけ(肢のつくプールに入れる)では異食行動を示さないことを見出した。異食行動は吐気(悪心)の指標とされているため、これらの実験結果は、ラットは20分以上泳ぐと気持ち悪くなることを示唆している。 (2)2019年2月に発表した、マウスは味覚刺激摂取後に回転カゴで自由に走行させると、その味覚を忌避するようになるという報告の発展的追試を行った。味覚刺激としてチーズや干しブドウなどの餌を用いた。ラットとマウスでは、同一手続きで両種とも同様の結果が得られること(種間普遍性)、完全な自由走行状況(広いペットケージ内に回転カゴがあり走っても走らなくてもよい状況)でもマウスは走り、その前に食べた餌をあまり食べなくなる(走行を伴わなかった餌は食べる)ことを論文発表した。 (3)ラットは悪心を感じるとカオリン粘土だけでなく石膏も食べることを学会発表した。 (4)ラットの走行性味覚嫌悪学習事態での阻止効果検出は不可能ではないが困難であり、実験手続きの改良が今後の課題であることを学会発表した。 なお、得られた実験成果や他の研究者の論文、関連領域の知見などを総合した展望論文を上梓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果および前年度までに実施していた関連研究の成果を、2篇の英文論文として公刊した。また海外での学会発表1件を含む5件の発表を行った。さらに、日本語による展望論文を著した。このように、研究成果の発信は極めて活発に行うことができた。 その一方で、当初予定していた、粘土食が悪心を緩和するという現象の一般性を調べるための実験のうち、抗癌剤の検討、悪心が粘土食として敏感に反映されるラットの系統の探索の2つは未実施である。1分間隔で摂取量を測定できる装置を用いた粘土食の時間的推移の測定も、いまだ試行段階に留まる。 以上の結果を総合的に判断して、「おおむね順調」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 粘土食が悪心を緩和するという現象の一般性を調べるため、抗癌剤の効果を検討する。 (2) 悪心が粘土食として敏感に反映されるラットの系統を探る。 (3) 1分間隔で摂取量を測定できる装置を用いた粘土食の時間的推移の測定を行う。 (4) これまでの研究成果を総括し、複数の論文として発表する。
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Causes of Carryover |
2020年7月にチェコで開催予定であった国際心理学会議の参加費(事前登録)および旅費を2019年度予算から支出予定であったが、コロナ禍により大会が1年延期となり、支出できなくなったため、2020年度に研究遂行のための経費にあてて支出する。
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Research Products
(8 results)