2019 Fiscal Year Research-status Report
瞳孔径を用いた犯罪捜査のための心理検査法に関する研究
Project/Area Number |
18K03195
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
小川 時洋 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (60392263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常岡 充子 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80623199)
松田 いづみ 青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (80356162) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 瞳孔径 / 隠匿情報検査 / 色 / 識別性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に引き続いて隠匿情報検査(Concealed Information Test, CIT)において,ディスプレイに提示された文字刺激の色の変動が,瞳孔径に及ぼす影響を検証した。実験参加者は,模擬窃盗課題を行った後,CITを受けた。CITの質問には,盗んだ紙幣の金額とアクセサリーについてそれぞれ尋ねる2種類を設けた。どちらか一方には模擬窃盗で盗んだものが項目として含まれており(関連項目),そちらを記憶あり条件,盗んだものが含まれていない質問は記憶なし条件とした。質問は何れも5項目で構成された。各質問項目は25秒間隔で1つずつディスプレイおよび音声を通じて提示した。色変動群では,質問項目提示される文字の色が緑,赤,青,白,黒のいずれかであったが,色一定群では文字刺激の色は白色に統一した。測定指標として,瞳孔径をアイトラッキング装置を用いて計測した。 色変動群18名,色一定群25名の有効データが得られた。刺激提示後5秒間の瞳孔径を分析したところ,記憶あり条件では関連項目提示時の方が非関連項目提示時よりも刺激提示後3~5秒の瞳孔径が有意に大きかった。記憶なし条件では,項目間の瞳孔径の差異は見られなかった。また,記憶の有無の識別性を受信者動作曲線下面積を用いて評価したところ,識別性は色一定条件では有意であったが,色変動条件では有意とならなかった。 色変動群の記憶なし条件を分析した結果,刺激が黒い文字で提示された場合には他よりも瞳孔径が大きかった。 次年度は,データの分析を継続するほか,音声のみを用いたCIT実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測上の問題から,当初見込みよりも得られた有効データが少なくなったが,概ね計画通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ分析を行う。可能であれば実験を実施し,新たなデータを取得することを目指すが,社会情勢等から新たな実験の実施が困難である状況もありうる。
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Causes of Carryover |
2017年度からの繰り越し分や,研究分担者が当該経費を用いた出張などを行う機会がなかったことなどにより未使用が生じた。未使用分については,次年度の旅費や成果発表に要する経費,物品購入費等に充てる。
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Research Products
(2 results)