2019 Fiscal Year Research-status Report
Bicategorical covering theory and derived equivalence classifications
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18K03207
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
浅芝 秀人 静岡大学, 理学部, 教授 (70175165)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 被覆理論 / 圏の作用 / グロタンディーク構成 / 次数付け / スマッシュ積 / 導来同値 / 2-圏 / 擬関手 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下,Gを群とし,kを可換環とする。 (1) G-擬作用をもつ小k-圏とG-同変関手のなす2-圏G-Catと,G-次数付き小k-圏と次数弱保存関手のなす2-圏G-GrCatとの間に2-随伴同値が存在するという定理を昨年度に証明した。この内容を,書籍として出版し,国際会議の報告集での解説として発表した。 (2) 小k-圏全体とそれらの間のk-関手およびk-関手の間の自然変換のなす2-圏をk-Catとおく。小圏 I からk-Catへの余弱関手Xのグロタンディーク構成Gr(X)は,小圏X(i)を関手X(a)で貼り合わせたもの(iはIの対象, aはIの射)とみることができる。他の弱関手X’:I → k-Catに対して,X(i)とX’(i)の間に導来同値が与えられているとき,これらの導来同値を貼り合わせて,Gr(X)とGr(X’)の導来同値を構成する理論を2013年に論文で発表しているが,ここでの関手X(a)を,X(j)-X’(i)-両側加群(ただし,aは対象iから対象jへの射)に取り替えた一般理論を数年前に構築している。その際,非常に大きな圏を取り扱わなければならなくなっているため,一般的な集合論の適用可能性が微妙であった。この困難を,P.B.Levyの考案した圏の階層(1つの宇宙を固定した上で階層を考える)を導入することによって回避する方法を見つけた。これについて,上記書籍の付録に解説し,1つの例として,小圏上のテンソル積の存在定理を,普通の圏上のテンソル積に一般化した定理を発表した。 (3) 上記の,導来同値の貼り合わせ理論を,k-小圏の代わりに微分次数k-圏に拡張するための基本的命題を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小圏 Iからの擬作用をもつ小k-圏全体とI-同変関手からなる2-圏をPfun(I, k-Cat)とおき,Iによる次数付けを持つ小k-圏とI-次数弱保存関手からなる2圏をI-GrCatとおく。一般化したスマッシュ積を用いると,本研究の目的としている問題は次の2つの問題に帰着する。 (i) I 次数付き線形小圏B, B′ が導来同値であるとき、どのような条件があればB#IとB'#Iが導来同値になるか。 (ii) 擬関手X: I →k-Cat に対して、X とGr(X)#I は同値になるか。 一般化したグロタンディーク構成と,Iとのスマッシュ積構成が,Pfun(I, k-Cat)とI-GrCatの間に2-随伴同値を与えることが前年度に証明できたので,(ii)の問題は肯定的に解けたことになる。(i)の問題に進むときに障害となる,大きな圏の取り扱い方法が見つかった。これによりこれまでの結果を論文にまとめることができるようになった。以上により,概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要(2)で述べた圏の階層を使う方法を,両側加群による導来同値の貼り合わせについての結果に応用し,この研究を完成する。そのために適度2以上の圏(普通の圏は軽度の圏,対象集合も2対象間の射集合も,固定した宇宙の部分集合になっているとき適度1の圏になっているが,それよりも大きい圏)についてもテンソル積の存在定理を一般化しておく。すでに発表している関手による導来同値の貼り合わせにもこの方法を適用して,その議論を正当化する。 なお,目的としている2つの問題の内,2番目のものが擬関手について昨年度解けたので,これにも上の方法を適用して,論文にまとめる。さらに(i)の問題を解くことに着手する。また,導来同値の貼り合わせ理論を,k-小圏の代わりに微分次数k-圏に拡張する理論を完成させる。
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