2021 Fiscal Year Research-status Report
Bicategorical covering theory and derived equivalence classifications
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18K03207
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
浅芝 秀人 大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (70175165)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 被覆理論 / 圏の擬作用 / グロタンディーク構成 / 次数付け / スマッシュ積 / 導来同値 / 2-圏 / 擬関手 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下、Gを群、Iを小圏とし、kを可換環とする。また、k-小圏 [微分次数k-小圏] 全体、それらの間の関手全体と自然変換のなす2-圏をk-Cat [k-DGCat] とおく。前年度において,導来同値の貼り合わせ理論を、以下のように微分次数k-圏に拡張していた。すなわち、Iからk-DGCatへの余弱関手(colax functor) XとX’に対して,XのGrothendieck構成をGr(X)で表すとき、以下の(1), (2), (3)において(1)=>(2)=>(3)が成り立つという定理を証明していた(簡単のためkを体とする)。 (1) X, X'は導来同値である。 (2) X'は、Xに対するI-不変傾部分余弱関手Tに擬同値である。 (3) Gr(X)とGr(X')は導来同値である。 本年度は,(2)から(1)が導かれるように(2)の条件を少し緩め,適用例をいくつか与えた。ただし、Iが一般の圏の場合、微分次数圏でのGrothendieck構成の計算方法はまだ与えていないので,Iが群Gの場合の例を与えた。その際、微分次数圏としてはポテンシャル付きクイバーから得られる完備Ginzburug微分次数圏を用い、G作用を持つポテンシャル付きクイバー(Q,P)とその変異(Q’, P’)からKeller-Yangの定理によって与えられる、それぞれのG作用付き完備Ginzburug微分次数圏X, X’の間の導来同値を用いた。このときGr(X), Gr(X’)はそれぞれあるポテンシャル付きクイバー(S, T), (S’, T’)の完備Ginzburg微分次数圏になっている。Gr(X)とGr(X’)の間の導来同値は上の定理によって得られるが,(S, T)と(S’, T’)の変異にKeller--Yangの定理を適用することによっては得られない。この定理を主定理とし以上の例を含む論文を雑誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は、(i) 擬関手X,X': I →k-Cat に対して、Iの各元iに対する、X(i)とX'(i)の間の導来同値を貼り合わせて、それらのGrothendieck構成Gr(X)とGr(X')の導来同値を構成することと、(ii) 逆にI次数付き線形小圏BとB'の間の導来同値が与えられたとき、それらのI被覆の間に導来同値を構成すること、(iii) およびそれらの間の相互関係を調べることにあるが、昨年度と本年度は(i)の構成を微分次数圏に拡張している。そのため線形圏に限定した意味では前進しているとはいえないかもしれないが、微分次数圏という重要な対象に対して理論を拡張でき応用範囲が飛躍的に広がった。また,本年度は例によってその応用法を具体的に与えた。したがって幅広く目的を遂行するという意味で、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
微分次数圏について得られた昨年度の定理のさらなる応用例を与えるために,一般の小圏Iからの関手X: I → k-DGCatに対して、そのGrothendieck構成Gr(X)の計算法を与える。また、実際にこれをもちいて,昨年度の定理の応用例をいくつか与え論文として発表する。 他方,一昨年度に計画していたように、圏の階層を使う方法を,両側加群による導来同値の貼り合わせについての結果に応用し、この研究を完成する。そのために適度2以上の圏(対象集合も対象間の射集合もある固定した宇宙の部分集合になっているとき適度1の圏とよばれるが、これはそれよりも大きい圏)についてもテンソル積の存在定理を一般化しておく。すでに発表している関手による導来同値の貼り合わせにもこの方法を適用して,その議論を正当化する。目的(iii)の、擬関手X: I →k-Cat に対して、X とGr(X)#I は同値になるかどうかという問題の解答にも上の方法を適用して整理し,論文にまとめる。さらに目的(ii)の問題を解くことに着手する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより外国および国内の出張が中止となり,予定していた旅費が使用できなかったため,残額を次年度に使用することにした。今後もセミナーは遠隔開催が多くなると予想されるため,旅費は小規模な研究連絡に当て,予算を遠隔セミナーに必要な機器やソフトウェア-および書籍の購入に当てる。
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