2021 Fiscal Year Research-status Report
多変数モジュラー形式の数論的, 幾何学的及びp進的応用
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18K03210
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山名 俊介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50633301)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | p進L関数 / 保型形式の周期 / L関数の特殊値 / 肥田族 / ヴェイユ表現 / 微分作用素 / 志村多様体 / 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
保型形式とは、群上定義された高い対称性を持つ関数であり、その適当な部分群上の積分は周期と呼ばれます。周期は表現の分岐則に関わり、ときに代数サイクルとしてコホモロジーと関連し、L関数の特殊値に現れることもあります。これは周期公式と呼ばれ、L関数を表現論や幾何に関係付けます。周期公式はp進L関数の構成にも用いられ、岩澤理論でも重要な役割を果たしています。
市野-池田予想とは、GrossとPrasadが1990年代前半に提出した予想の精密化であり、京都大学の池田保教授と市野篤史准教授により定式化された一般的かつ具体的な周期公式です。近年ユニタリ群の直積U(n+1)×U(n)の場合に著しく進展し、Beuzart-Plessis, Yifeng Liu, Wei Zhang, Xinwen Zhuにより安定な保型形式に関して解決されました。
p進L関数の構成には、局所的データを適切に選んでFourier係数や積分を具体的に計算する必要があります。本年度に、筆者は、p進体上のGL(n+1)xGL(n)の市野-池田積分を明示的に計算しました。筆者はコロンビア大学のマイケルハリス教授らと市野-池田予想を使って、U(n+1)xU(n)のp進L関数を構成する研究を進めており、この計算結果はユニタリ群を定義する二次拡大が分裂する素数pでのp進L関数の構成に役立つはずです。さらに、筆者は実ユニタリ群でも市野-池田積分を特別な場合に計算しています。さらにGL(2)xGL(2)xGL(2)の三重積L関数のゼータ積分に関して、筆者は任意の表現に関して、簡便なフーリエ係数と積分値を持つ局所データを見出しました。これは精密ではないものの、三重積p進L関数の構成と例外零点の計算を拡張するのに役立つはずです。その他にダブリング法を用いたメタプレクティック群のp進標準L関数を構成するための研究も推進しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
筆者は今年度に, 以下の研究を行なった。 (1) GL(n+1)xG(n)の市野-池田積分の明示計算 (2) 一般的なp進三重積L関数の構成の準備 (3) メタプレクティック群のp進L関数の構成の準備 いずれも論文にまとめる段階に到達しておらず、本年度の研究は、やや遅れていると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
筆者の見つけたGL(n+1)xGL(n)の局所データは、適切な市野-池田積分を持ちますが、それだけでは適切なデータであるとは断定できません。例えば、一変数モジュラー形式の場合、ゼータ積分値の他に、フーリエ係数の形状が複雑でないこともp進補間に必要であるなど、局所データは複数の条件を満たす必要があります。一般のユニタリ群では、フーリエ係数の代わりにフーリエ-ヤコビ係数を考えますが、その理論は非常に複雑です。一方、U(2)の局所データは一変数モジュラー形式の局所と同一であり、U(3)xU(2)の市野-池田積分はSO(4)xSO(3)の三重積L関数の市野積分に多少類似しています。そこで、筆者はひとまず、U(3)xU(2)のp進L関数の構成を目指しています。この場合のp進L関数は、楕円曲線との関係も期待できて、数論幾何学や岩澤理論の観点からも興味深いと考えられます。p進体上のGL(3)xGL(2)の市野-池田積分の筆者の局所データは適切なものであると思われるので、実数体上での積分計算をテータ対応や微分作用素を用いて計算を試みる予定です。並行して、三重積p進L関数とその例外零点の研究では、分岐に関する制約やp通常的でない場合への拡張を試みる予定です。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延により海外出張の予定がキャンセルされ、旅費が不要になったため、次年度使用額が生じました。
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