2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on finite dimensional algebras and combinatorial objects that appear in Lie theory
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18K03212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有木 進 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (40212641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘッケ代数 / 暴表現型 / シューア加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己同型環が斜体である直既約加群をシューア加群と呼ぶ。シューア加群の個数がいつ有限になるかという問いは昔から興味を持たれてきたが、制限関手や誘導関手との相性が悪いこともあって最近まで進展がなかった。しかしながら近年の伊山修教授の研究によりある程度手がつくようになり、シューア加群の有限性、無限性を判定できた代数の例がいくつか報告されている。本研究計画ではヘッケ代数のブロック代数に対してシューア加群の個数の有限性を判定しようと試みている。昨年度の研究実績概要に書いたようにヘッケ代数のブロック代数が有限表現型または順表現型のときは代数の森田同値類まで決定したので、研究の中心は暴表現型ブロック代数である。昨年度得られた基本的アイデアを実行するにあたり、タウ傾理論の若手研究者が、タウ傾有限性は導來同値で不変な性質なのではないかという予想を立てていた。他方、A型およびB型ヘッケ代数のブロック代数はA型アフィンリー代数の最高重み加群の重み空間の圏化であり、ワイル群作用は導來圏同値に持ち上がることから、もしこの予想が正しければ、シューア加群の個数の有限性をヌルルートの自然数倍に対応する円分箙ヘッケ代数に対してのみ調べればよいことになる。しかしながら私の指導する博士課程学生王起君の単連結代数に関する論文を検討する中で、シューア加群の個数が有限個の代数と無限個の代数が導來圏同値になっている例を発見した。つまり残念ながらシューア加群の個数の有限性の研究に新しいアイデアが必要なことが再確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19による影響が大きい。2020年度副専攻長として専攻長とともに種々の未経験の状況に対処しなければならず、また教育面でも従来の講義資料以外に音声付スライドを作成する必要があり、さらに本来2020年9月に来日するはずの外国人研究者の受入れの度重なる延期にともなう毎回の種々の手続きで時間を取られることとなり、当初予定したエフォート通りに研究時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までに得られた成果をもとに当初予定した研究計画を本年度に実施するが、昨年度得られた基本的アイデアの実行において技術的困難が発生しているので、その点を回避する方策を検討する。ひとつの可能性は単連結代数への商写像を構成できるかどうかを検討することである。
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Causes of Carryover |
Covid-19による副専攻長としての業務、受入れ予定の研究員の度重なる来日延期措置に伴う種々の作業、従来の講義資料以外に音声付スライドの作成等、2020年度特有の教育上の負担により、当初予定した研究時間が十分確保できなかったため。
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