2018 Fiscal Year Research-status Report
Number theory, geometry and their application to algorithm
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18K03213
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 眞 広島大学, 理学研究科, 教授 (70231602)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疑似乱数 / 代数系 / アルゴリズム / xorshift128+ / TinyMT / dynamic creator / 64 bit MT |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、擬似乱数発生法の問題点について、理論的及び実験的研究を行い、近年トレンドとなっているVigna氏のxorshift128+生成法について、目で見える格子構造を持っていることをつきとめた。まず、xorshift128+において加法を用いて非線形化を行っている部分を排他的論理和におきかえた疑似乱数発生法の偏りを理論的に解析した。連続する三つの出力間に簡単な関係式があることを発見した。次に、排他的論理和を加法に戻し、類似の関係が高い確率で成立することを実験的に確かめた。実際、3Dプロット図で、模様が見えることを確認した。この成果は、広島大学研究員斎藤氏と、愛媛大学准教授原本氏との共同研究である。 また、上記研究員斎藤氏と共同で開発し公開しているTinyMT擬似乱数生成法について、出力のビットを上下反転するとTestU01のBigCrushを通らないため、非線形化が十分でないというVigna氏の指摘がある。これに対して、その指摘が統計的検定法であるTestU01に対する理解不十分に起因していることを示しながら、同時に指摘を回避するためのTinyMTの改良法を研究した。 さらに、物理学の研究者である広島大学の金森氏らより、大量の独立した擬似乱数生成器を物理シミュレーションのライブラリに加えたいとの要望を受け、山形大学西村准教授の開発した64bit版メルセンヌ・ツイスター擬似乱数生成器のパラメータを大量に生成する研究を金森氏および上記研究員斎藤氏と共に行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 最近になって、xorshift128+生成法が広く用いられるようになった。疑似乱数をGPUなどの並列環境で生成するためには、メルセンヌ・ツイスターのような多数ワードメモリを占有する生成法は不利だからである。研究代表者はxorshift128+生成法の危険性を訴えてきたが、根拠に乏しかった。今回、目で見える問題点があきらかになった。大きな前進といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
xorshift128+の問題点を持たないメモリの小さな疑似乱数生成器を開発するまたは既存の疑似乱数生成器の改良を行う。 さらに、擬似乱数生成器の検定方法についてよい検定方法を探求する。 物理学分野の要望に応えて擬似乱数ライブラリの提供に協力する。
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Causes of Carryover |
理由:研究の過程で、新しいCPUを用いた実験が必要であることが、年度末に判明した。このための予算を繰り越した。 使用計画:パナソニックノートPCを2019年11月以降に購入する。あわせて周辺機器をそろえる。
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