2020 Fiscal Year Research-status Report
Number theory, geometry and their application to algorithm
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18K03213
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| Research Institution | Hiroshima University |
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Principal Investigator |
松本 眞 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (70231602)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 差集合 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
「有限群上の差集合」の一般化についての研究を行った。有限群Gの部分集合Dが差集合であるとは、Dの非順序対の差が、Gの単位元以外のすべての元を同じ重複度であらわすことをさす。これを、アソシエーションスキームG×G→Iに一般化した。Iの元iの逆像R_iはGの二項関係となる。Gの部分集合Dが差集合であるとは、比（D×D∩R_i)/k_i（ここでk_iはR_iのvalency）が、R_iが恒等関係でない限り一定である、という定義を我々は行った。アソシエーションスキームが群のthin association schemeである場合には、古典的な差集合の概念と一致する。また、アソシエーションスキームが群アソシエーションスキーム（すなわち、IはGの共役類の集合）である場合についての差集合に対し、特にプレ差集合という命名を行った。差集合であればプレ差集合であり、また、群が可換であるときには両者の概念は一致する。プレ差集合であるが差集合ではない例を無限種類作成することに成功した。また、2面体群D16と、位数27の3元体上半三角行列T(3,3）においては、差集合は存在しないがプレ差集合は存在することを示した。これらの存在は、計算機を用いて示したほか、ある群の差集合から別の群のプレ差集合を構成する一般論を示すことによっても証明した。「二面体群には差集合は自明なものしか存在しない」と予想されてるため、この結果はプレ差集合が差集合とは大きくことなることを示している。一方で、差集合の存在のための必要条件の多くが、プレ差集合の存在の必要条件になっていることも示し、両者の概念が近いことも示した。これらの（プレ）差集合は、群Gの中でなんらかの意味での「ランダムな部分集合」になっていることが、表現論的に示唆されている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、アソシエーションスキームに一般化された差集合を、マルチセットに一般化し、等分布多重集合という概念を定義した。等分布多重集合の各元の多重度が1であるときには、この概念は差集合に一致する。本研究では、アソシエーションスキームのカテゴリーに着目した。そして、等分布多重集合の全射準同型像が、再び等分布多重集合となることを示した。これにより、差集合の非存在定理の多くを一般化したほか、差集合を検索するアルゴリズムの高速化に成功した。これらは、予想以上の収穫であり、いままで差集合が存在するか否か知られていなかったいくつかの群に対して、それを決定することができる（現在計算機を用いて検証中）。また、差集合と、組み合わせ論的デザインは近い関係にあることが知られている。我々が一般化した差集合と、組み合わせ論的デザインの関係について、これら既知の結果を一般化し、より広範な成果が生み出せると期待している。まだ、アソシエーションスキームの公理を弱めた対象についても、類似の結果を示しつつある。
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| Strategy for Future Research Activity |
当面の具体的な研究課題としては、非自明な差集合の存在・非存在がわかっていない群（たとえば位数120の群であって単純群A5を含むもの）に対して、存在・非存在を決定していく方向が考えられる。しかし、5次対称群のような群は大きな単純部分群をもち、計算機を用いてもその非存在性を決定するには非現実的な時間がかかる。我々は、差集合の概念をアソシエーションスキームに一般化することで探索を高速化したが、さらに、複数のアソシエーションスキームにおける等分布多重集合の分類を統一的に見ることにより、探索の効率を上げることを目指している。また、「等分布多重集合」は群の表現論的にみるとある種の「重み付きフーリエ係数が一定」な特性関数を持つ多重集合として特徴つけられる。これは、物理的には「共振しにくさ」といった意味合いを持っている。このように、差集合や等分布多重集合の物理的意味、信号理論的意味を明らかにしていきたい。
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| Causes of Carryover |
研究代表者が出席する予定だった国外での会議が新型コロナの影響によりオンライン開催となったため、海外出張旅費が使われず次年度使用予定額が生じた。次年度においては、予定されていた研究活動に加え、Intel core-i9のような新型CPUを搭載したコンピュータを購入し実験を行う計画である。
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Research Products
(1 results)
