2022 Fiscal Year Annual Research Report
Number theory, geometry and their application to algorithm
Project/Area Number |
18K03213
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 眞 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (70231602)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 擬似乱数 / 統計的検定 / 差集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、整数乗算による漸化式と、F2演算を含む論理演算によるフィルターを組み合わせた擬似乱数発生法のプロトタイプを作り、その性能の評価を行った。今日のCPUの多くは64ビットを処理データの単位としており、64ビット演算は比較的高速である。その中でも算術演算、とりわけ乗算は繰り上がりがあるために、F2演算を含む論理演算に比べて複雑度の高い演算となっている。現在擬似乱数発生法として人気が高まっているVignaらのxorshift系生成法では、漸化式に論理演算を使い、フィルターに算術演算を用いている。F2演算の方が解析がしやすく、かつ長周期を実現しやすいためにこのようなデザインとなっていると思われる。本研究では、漸化式を古典的な線形合同法LCGとし、フィルターをローテートとF2演算の組み合わせとすることを考えた。こうすると、積み重なりのないフィルターではなく、反復によってデータが積み重なっていく漸化式の方に複雑な整数乗算が入るために、乱数性と速度の向上が見られることを期待した。 トイモデルによる実験、および64ビットサイズのフルモデルの実験によれば、乱数性は優れており、また、xorshift系の生成法に若干劣るもののほぼ互角のスピードを得た。なにより、パラメトリゼーションが容易であり、多数のプロセスで独立の乱数ストリームを生成するのに適した擬似乱数発生法が得られた。 研究期間全体では、xorshift生成法のある系列に瑕疵があることを示したほか、擬似乱数発生法を検定する検定法に、p値を求める近似式が内在しその近似の悪さのために「検定法が正しくない」事例が多々あることを示し、その改良法を求めた。また、有限群上での準モンテカルロ積分を行う際に有効と思われる、difference set(差集合)の存在に関する研究を行った。
|
Research Products
(1 results)