2020 Fiscal Year Annual Research Report
Diophantine approximation in low discrepancy sequences and the Kontsevich-Zagier period conjecture
Project/Area Number |
18K03225
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子 (河野典子) 日本大学, 理工学部, 教授 (90215195)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一様分布 / 超一様分布 / パデ近似 / ディオファントス近似 / 多重対数 / Lerch関数 / 超幾何級数 / リーマンゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
可換代数群の場合のKontsevich-Zagier周期予想は,研究代表者の超越数論における過去の業績からも得られるものであったが,本研究課題ではこの考察を深化させ,周期予想に対峙するためのディオファントス近似の新しい手法を創成することを主目的とした.課題の実施においては一様分布,超一様分布を調べる際のディオファントス近似を基に考えたことで想定外の展開が得られ,最終的に近似の新手法である抽象的パデ近似を構築することができた.パデ近似(Hermite-Pade近似)はGrothendieck p曲率予想の解決にも寄与した手法である.この抽象的パデ近似を用いて証明した主結果を昨年に出版し,さらなる発展版はすでに査読が終了して本年に出版予定である. 主結果の系は,異なる代数的数におけるs重 Lerch関数および多重対数関数の値の一次独立性の判定条件を与えたもので,1980年代以来の未解決問題の解決に相当する.Chudnovskyのアナウンス(証明なし)のさらなる一般化も含むものであり,超幾何級数に関しても適用できるため,いわゆるG関数の値の数論的性質の解明にブレークスルーを与えたと言って良い.周期間の代数的数係数一次関係式はモチヴィックなものに起因するものに限るという周期予想に対し,周期の一つである多重対数関数の値が代数体上で一次独立になるための十分条件を明記した結果に相当するので,周期に関する原理をある程度解明できたことになる. この成果が当初の予定よりも早く得られたのも,全てこの科学研究費による国内共同研究者の川島 誠の2018年の海外派遣及びその際の海外研究協力者との研究討議,2019年の海外共同研究者Sinnou David教授の招聘のおかげである.また研究代表者が国内外で実施した招待講演によって,超幾何級数やリーマンゼータ関数の考察につながる新たな研究への拡がりも生まれた.
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