2019 Fiscal Year Research-status Report
On finite generation of symbolic Rees rings of defining ideals of space monomial curves
Project/Area Number |
18K03226
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 専任教授 (90205188)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | Cox 環 / Demazure 構成 / symbolic 冪 / symbolic リース環 |
Outline of Annual Research Achievements |
藏野研究室の大学院生だった越前谷彩香さんと荒井悠介君の修士論文の結果を用いてray idealやray ideal coneの概念に到達し、その言葉を用いて多重次数付きの正規環に対するDemazure構成の証明に成功した論文は、越前谷彩香さん・荒井悠介君・藏野の共同研究として2019年に出版された。Demazure構成とは、多重次数付きの正規環はある条件の下で、正規射影代数多様体のmulti-section環になるという結果である。可換環論において重要な環が代数多様体のmulti-section環の構造を持つことが多いが、その理由がここで明らかになったと言ってよい。代数多様体のmulti-section環は双有理幾何そのものと深い関係があり、その研究は多方面から必要とされている。今後、ますますこの分野の研究は進んでゆくと考えられる。 千葉大学の西田康二氏との共著で、スペースモノミアル曲線の定義イデアルのシンボリック・リース環の有限生成性に関する論文も2019年に出版された。スペースモノミアル曲線の定義イデアルのシンボリック・リース環に関しては、有限生成性を判定するためのHunekeの判定法がある。雑に言うと、有限生成になるためには、negative curveとそれに交わらない曲線が存在すればよいという結果である。この論文では、定義イデアルの生成元の一つがnegative curveの方程式になるとき、Hunekeの判定法を満たすもう一つの元の次数を与えている。これによって、コンピューターでの計算ができるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
越前谷彩香さんと荒井悠介君との共同研究で多重次数付きの正規環のDemazure構成を証明したが、その技術を用いてトーリックイデアルのシンボリックリース環をある代数多様体のCox環として表すという研究は完成に近づきつつある。細かいところを詰めてから単著論文を執筆予定である。 また、negative curveの研究も進んでおり、それを統括した理論としてnegative curve on torus with multiplicity r (略して nct, r)の概念に到達して、その研究が進んでいる。 ただ、研究発表およびレビューを受けるための研究出張は昨年度末からすべてがキャンセルとなっているので、その点で大幅な研究計画の変更が必要となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で、予定していた出張はすべてキャンセルとなって、研究費の使い方も大きく変更せざるを得ない。現状では研究発表やレビューを受けるための出張の目途はたっていない。これは、今後の新型コロナウィルスの感染状況に左右される。 本来の目標とはそれたところで成果が出ているが、元々の目的(永田予想)に向かってこれまでに得られた知見を応用することを考えてゆきたい。そのためにも、上述したnegative curve on torus with multiplicity r (略して nct, r)の研究を進める。これに付随した1次のコホモロジーの次元が1以下であることが証明できれば、永田予想が証明できることがわかった。
|
Causes of Carryover |
2019年度前半は藏野の個人的理由によって、予定通りに研究出張を行うことができなかった。それらは全て2019年度後半にずらそうと考えていたのだが、新型コロナウィルスのため、それも変更せざるを得なくなった。本研究の研究期間は今年度までであるが、今年度も研究発表やレビューを受けるための出張ができるのかどうかは不明である。2021年度まで研究費を繰り越すことを考えている。
|