2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03229
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
菊田 俊幸 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (60569953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | J. Sturm / Siegelモジュラー形式 / Hermiteモジュラー形式 / テータ作用素 / 法p特異モジュラー形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Siegelモジュラー形式の場合に定義される「法p特異モジュラー形式」の性質を、それと深く関連するテータ作用素の核の性質と共に調べてきた。 前年度までの研究では、次数nのSiegelモジュラー形式の場合において、素数pのm乗を法とするテータ作用素の核のフィルトレーションに関する考察を行い、(n,m)が(n,2)(nが一般)と(1,3)の場合に新たな結果が得られた。ただし、(1,3)の場合はChen-Kimingの結果の特別な場合の別証明となる。ある特別な合同式を満たすモジュラー形式の存在を示すことが、上記議論の鍵となる。mが一般の場合にも、この「存在性」の証明を試みてきたが、今のところ解決には至っていない。 そこで、当該年度の研究では、この「存在性」の問題を回避する新たな論法の検討を行った。実際に、(n,m)が(1,2)の場合に別証明を与えることができた。これには微分作用素に関するBolの結果を用いる。今後の研究により、細部を詰め、mやnが一般の場合への応用を図る。以上のフィルトレーションに関する成果は、S.Boecherer氏との共同研究によって得られたものである。 また、既に掲載が決定されていた2編の論文が、当該年度中に実際に学術誌に掲載された。内容は下記の通りである。(1) Gauss数体上の2次のHermiteモジュラー形式の場合に、重さが4の倍数からなる整数環上の次数付き環の生成元を具体的に与えた。(2) 2次のSiegelモジュラー形式の場合において、奇数重さのSturm型の境界を与えた。((2)は竹森翔氏との共同研究である。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標の部分的解決はしたものの、まだ未解決の部分が多く残っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、ある特別なモジュラー形式の存在問題を鍵とした議論を継続してきたが、うまく行っていない部分が多く、研究に若干の停滞が見られた。そのため、上記の存在問題を回避する別の論法について検討を始め、僅かに成果が得られた。今後は、この論法について細部を詰め、本研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
国内の研究集会への参加を予定していたが、海外出張を優先し、予定を中止したため。次年度の出張旅費と専門図書の購入費用として使用する予定である。
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