2020 Fiscal Year Research-status Report
Development in geometric Galois theory and monodromy
Project/Area Number |
18K03230
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
三浦 敬 宇部工業高等専門学校, 一般科, 教授 (50353321)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | (準)ガロワ点 / 自己同型群 / 代数曲線 / 複素鏡映群 / 射影代数多様体 / クレモナ群 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数関数体の内部構造および体拡大の様子を考察する手段として導入された「ガロワ点」,およびその進化形である「準ガロワ点」について多方面から考察を行った.両者とも代数関数体,すなわちそのモデルである代数多様体の自己同型と密接に関係があり,対称性をより具体的に表現する方法のひとつであるという立場のもとで研究を進めてきた. 1.東海大学の瀧真語准教授とともに,K3曲面の自己同型の観点からガロワ点の研究を開始した.具体例の計算より,4次曲面として与えられるK3曲面上のガロワ点は非シンプレクティック自己同型の孤立固定点になりそうであることが見えてきた.より一般的に問題として定式化すれば,K3曲面が有限個のガロワ点を持つとき,それらは非シンプレクティック自己同型の孤立固定点か?となる.このことについては,今後重点的に研究を進めていきたい. 2.次数の低い平面曲線のガロワ点について未だ解明されていない問題を整理した.すなわち,特異点を持つ5次平面曲線のガロワ点については,未だよく分かっていない部分が多い.まずは種数5の場合を考察した.このとき,もしガロワ点が存在すれば,そのガロワ点が引き起こす双有理変換は射影変換の制限であることが分かる.よって,定義方程式を決定することができ,結果として,2重点がガロワ点の場合,それは通常2重点であることが結論付けられた. 3.新潟大学の高橋剛准教授,山形大学の深澤知准教授とともに6次平面曲線に対する準ガロワ点の考察を行った. 4.ガロワ点,準ガロワ点と符号理論との関係の考察を開始した. 5.2021年3月に開催された代数幾何ミニワークショップ「ガロア点,有限体,代数曲線」に出席し,最新の研究成果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要にもあるように,ガロワ点,準ガロワ点を核として,いろいろな観点から研究を行っている.しかしながら,ほとんどがトライアルからスタート状態のものであり,思うように成果が得られていない.どの観点についても,今までに多大な考察がなされており,それらを広くかつ深くマスターするためにはより一層の努力が必要である.また,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,専門家との研究打ち合わせが実行できなかったことも大きな原因である.加えて,研究集会は軒並み中止となり,さらに,ここ数年世話人の一人として開催している研究集会を開催することもできず,最新の研究成果の情報収集もままならなかった. 今年度は勤務校において管理職(校長補佐(教務主事))に任命され,平時であってもなかなか研究時間を確保するのが難しい立場にあったが,それに加えてのコロナ禍の諸々の問題に対応する必要があり,非常に厳しい一年であった.研究に費やせる時間の確保が簡単にはいかない状況の中で,いかに効率よく研究を進められるかを考える必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように,K3曲面自己同型群の専門家である瀧准教授とともに研究を進めることは非常に強力であると思われる.我々が既に得ている「ガロワ点」「準ガロワ点」についての結果を,これらの理論から見直すことは大いに意味がある.この方面からの研究を強力に展開したい.そのためには,自己同型群のきめ細かな考察が必要である.これについては,連携研究者らと研究打ち合わせを重ねることで対応するつもりである.また,昨年来ザリスキー対との関係にも非常に関心を持っており,専門家である徳島大学の白根竹人講師と研究打ち合わせを重ねることで議論を進める予定である.また,古典的な結果として得られている幾何学的な現象を,我々の「ガロワ点」「準ガロワ点」の言葉を用いて記述することを目指していきたい.このためにも,連携研究者らと研究打ち合わせをする必要がある.打ち合わせをオンライン上で定期的に行い,協働することで着実に研究を推進したい.
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせのための出張を数回予定していたが,新型コロナウイルス感染症拡大により,何ひとつとして実行できなかった.これは日本のみならず世界的なことであり,致し方ないと考える.このため,旅費の支出が完全にゼロとなった.今年度以降は,研究集会への出張を計画し,また,研究打ち合わせが確実に実行できるようにスケジュールを工夫して組み立てることにより着実に出張を実行したい.しかし,新型コロナウイルス感染症は今なお猛威を奮っており出張については不透明である.それゆえ,最新の研究成果をチェックするために関係する文献を購入したり,数式処理ソフトウェアの購入も検討したい.
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