2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト函数の理論を積極的に用いた局所環論の展開
Project/Area Number |
18K03241
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大関 一秀 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70445849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可換環論 / ヒルベルト函数 / ヒルベルト係数 / Rees代数 / 随伴次数環 / Sally加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,代数学の一分野である可換環論の発展を目標とするものである。特に,ヒルベルト函数の理論を積極的に用いた局所環の構造の分類を目指すものである。 平成30年度は,申請時の研究課題の一つであった「第1および第2ヒルベルト係数による随伴次数環,Rees代数の構造解析」に主に着手した。特に,第2正規ヒルベルト係数による随伴次数環の構造の分類において成果を挙げた。 具体的には,1990年代に伊藤によって与えられた第2正規ヒルベルト係数の境界値および境界条件に対して,Sally加群の理論を導入することで,随伴次数環の新たな特徴づけを与えることが出来た。この研究は,S. K. Masuti氏(チェンナイ大学),M. E. Rossi氏(ジェノバ大学),H. L. Truong氏(ハノイ数学研究所)との共同研究として実施されたものである。平成30年7月には,ジェノバ大学数学科(イタリア)を約3週間訪問し,Rossi氏と本研究に関する研究打合せを行った。 上述の研究の進捗状況については,第63回代数学シンポジウム(東京工業大学・東京,2018年9月,招待講演),The 10th Japan-Vietnam Joint Seminar on Commutative Algebra(Hue University・Vietnam,2018年9月,国際会議・招待講演), 第40回可換環論シンポジウム(レクトーレ葉山・神奈川,2018年11月),Special Session on Commutative Algebra and its Environs at the Spring Central and Western Joint Sectional Meeting of the AMS(ハワイ大学マウイ校・アメリカ,2019年3月,国際会議・招待講演)にて口頭発表を行った。さらに,その内容を学術論文として集約し,国際数学専門雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2正規ヒルベルト係数による随伴次数環の構造の新たな特徴づけについて,S. K. Masuti氏,M. E. Rossi氏,H. L. Truong氏との国際共同研究を実施した。その研究成果を国内外の学会・研究集会にて発表し,その内容を纏めたものを国際数学専門雑誌に投稿するなど,一定の成果が得られていることから,本研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度も引き続き,第1および第2ヒルベルト係数による随伴次数環,Rees代数の構造解析に着手する。特に,正規ヒルベルト函数と随伴次数環の構造の関係解明についての関連論文がここ数年で多数発表されていることから,それらの研究動向を注意深く考察し,情報収集を行いながら問題解決に取り組む。その際に,Sally加群の構造が鍵となると考えられることから,その理論の構築および発展に取り組む。
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