2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト函数の理論を積極的に用いた局所環論の展開
Project/Area Number |
18K03241
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大関 一秀 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70445849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可換環論 / 局所環 / ヒルベルト函数 / ヒルベルト係数 / Sally加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,代数学の中の可換環論分野の発展を目指すものである。特に,ヒルベルト函数の理論を積極的に用いて,与えられた局所環やそこに含まれる準素イデアルの構造を分類することを目的とする。 令和元年度は,前年度に従事していた,第2正規ヒルベルト係数の挙動と随伴次数環の構造研究に関する研究成果を纏め,国際数学専門雑誌であるProceedings of American Mathematical Societyへの掲載受理に至った。本研究成果については,第32回可換環論セミナー(弘前大学・青森,2019年6月),第8回日中韓環論国際シンポジウム(名古屋大学・愛知,2019年8月,国際学会),第41回可換環論シンポジウム(倉敷シーサイドホテル・岡山,2019年11月,国際学会),日本数学会2020年度年会(日本大学・東京,2020年3月)にて口頭発表を行った。尚、この研究内容はM. E. Rossi氏(ジェノバ大学,イタリア),S. K. Masuti氏(チェンナイ数学研究所,インド),H. L. Truong氏(ザールランド大学,ドイツ)との国際共同研究に基づくものである。 当該年度の7月にはザールランド大学のH. L. Truong氏,9月にはジェノバ大学のM. E. Rossi氏の研究室を訪問し,本研究内容,特に,ヒルベルト係数とSally加群の構造の関係に関する研究打ち合わせを行った。 当該年度後半には,重複度および第1ヒルベルト係数が相対的に小さい準素イデアルの構造研究に着手し,ある条件を満たす準素イデアルの随伴次数環のコーエンマコーレイ性に関する新たな特徴づけが芽生えつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際共著論文が受理されたことや日本数学会や環論関連の各種研究集会にて成果発表を行っていること,さらに,次年度に向けての新たな研究課題が見つかったことなどから、本研究の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度において本研究は,前年度の後半に芽生えた随伴次数環のコーエンマコーレイ性に関する特徴づけについて早急に纏め上げることから開始する。得られた研究成果については,日本数学会,可換環論シンポジウム,環論および表現論シンポジウムといった各種学会・研究集会にて発信し,年度内に学術論文として纏め,国際数学専門雑誌に投稿する。 令和2年度は当面の間海外渡航が制限されることが予想されることから,オンラインの設備を充実させた上で,Rossi氏を始めとする国際共同研究者との遠隔での議論を継続していきたい。
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Research Products
(9 results)