2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト函数の理論を積極的に用いた局所環論の展開
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18K03241
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大関 一秀 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70445849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 可換環論 / 局所環 / ヒルベルト函数 / ヒルベルト係数 / Sally加群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒルベルト函数の理論を積極的に用いることで, 可換環やそれらに含まれるイデアルの構造を分類し, 代数学の一分野である可換環論の発展を目指すものである。本年度(令和2年度)は主に, 第1および第2ヒルベルト係数による随伴次数環の構造研究を行った。その際に,Sally加群の理論を活用している。ある特定のヒルベルト係数の条件を満たすようなイデアルのSally加群の構造を決定することで,対応する随伴次数環の構造を分類した。 当該年度(令和2年度)は,S. K. Masuti氏,M. E. Rossi氏,H. L. Truong氏との国際共著論文として纏めた正規第2ヒルベルト係数に関する研究成果がProceedings of the American Mathematical Societyに掲載された。さらに,S. K. Masuti氏とM. E. Rossi氏との国際共著論文として纏めた正規第1ヒルベルト係数のalmost minimalityに関する研究成果も,次年度(令和3年度)に国際数学専門雑誌において出版される予定となっている。また,Stretchedな準素イデアルのSally加群の構造に関する研究成果発表を,東京可換環論セミナー(東京大学・東京,2020年7月)や,WVU Algebra Seminar (West Virginia大学・アメリカ, 2020年11月),Virtual Commutative Algebra Seminar(IIT Bombay・インド, 2021年3月)にて行った。これらは全てオンラインにて開催された研究集会である。 当該年度の当初に予定していた研究打ち合わせや参加を予定していた学会・研究集会の開催は全て延期・中止もしくはオンライン開催となった為,当初の予定を大幅に変更しての研究活動となった。本来の研究計画実行の為,研究期間の延長を申請する運びとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,COVID-19の感染拡大の影響から当初予定していた研究計画の大半が次年度に延期かもしくはオンラインにて開催される運びとなった。その一方で,研究実績の概要にて述べた通り,1編の国際共著論文が出版され,もう1編が次年度に国際数学専門雑誌に出版される予定である。さらに,国内外で開催されたオンライン研究集会にて4件の研究成果発表を行った。 以上のことから,COVID-19による影響はあったものの,一定の研究成果を挙げることが出来たと考えられる事から,現在までの進捗状況はおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は令和2年度の当初とおおむね同様の研究計画を立てる。Sally加群の構造論の構築を引き続き行いながら,ヒルベルト係数による随伴次数環の構造の分類を行う。 研究協力者であるM. E. Rossi氏(ジェノバ大学・イタリア)との研究打ち合わせを実施する。国内外で開催される各種学会・研究集会に出席をし,本研究に関する情報収集および成果発表を行う。ただし,COVID-19の感染拡大状況に留意しながら,必要に応じてオンラインでの研究打ち合わせや研究集会参加に切り替えることもある。従って,オンラインへの切り替えの可能性を念頭に置きながら,研究打ち合わせや学会・研究集会参加に向けての準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大の影響により海外渡航が禁止された為,9月に予定していた研究打ち合わせが次年度(令和3年度に)に延期となった。さらに,11月に開催を予定していた第42回可換環論シンポジウムの世話人を引き受けていたが,それもまた次年度に開催延期となった。これら2つの研究活動は,当該年度(令和2年度)当初の本研究経費の主な使用予定であったが,それらが延期されたことから研究期間延長を申請し,次年度に使用する運びとなった。 令和3年度は,Rossi氏との研究打ち合わせおよび第42回可換環論シンポジウムの実施を本研究経費の主な使用目的とする。その他,国内における学会・研究集会への出席および成果発表や,本研究に関わる研究者との研究打ち合わせの為の旅費として使用する予定である。さらに,オンラインによる研究活動にも対応可能な設備備品も必要に応じて計上する予定である。
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Research Products
(8 results)